『GAME』全曲紹介(2)

 http://d.hatena.ne.jp/KIND/20080420/p1
 こちらの続き。

■04.Baby cruising Love

 中田ヤスタカが使う手段として、表題曲で攻撃的に行き、その次の曲で「ゴメンゴメンと謝る」(笑)というものがあります。『L.D.K Lounge Designers Killer』における表題曲と、その次の『twinkle twinkle pop pop』の関係などがそれ。このアルバムにおける『GAME』と『BcL』の関係性も、それに当たるのではないかと思います。

 音を無慈悲にザクザクと切り刻み、ブツンと無節操に終わる『GAME』の後に、Perfume史上もっとも体温を感じさせる『BcL』を持ってくる並び。当然ながら何らかの意図を感じざるを得ない。恐らくそれは、Perfume自身が『Perfumeの掟』で自覚的に演じているように、「虚構の裏側にある真実」をメタ的な視点から語っているのだと思います。

 『GAME』でリスナーに驚きを与えた後、「ゴメンゴメン、あれは作り物だから」と謝りつつ、しかし演じてるのは同じ人たちという。この落差はすごい。さらに、この曲順になると、きれいなピアノと一緒に鳴っているでかいブリブリベースがまったく違和感なくなるから不思議です。

 この後、しばらく平和ですw

■05.チョコレイト・ディスコ

クイックジャパン77号』でのっちが語っていたように、「よく入れたな」という印象です。この曲の幸せ感、ブリブリ感、元気いっぱい感は完全に「『GAME』以前」のPerfume。ゆえに、全曲を聞いた後に思うのは、「収録されなくてもまったくおかしくなかった」ということ。

 これはもう、中田ヤスタカの思想というよりは、希少品『Fan service sweet』でしか手に入らない音源をムリクリ入れ込んだ商業的判断と見るほうが自然でしょうね。もちろん、まったく悪いことではありません。入れてくれなきゃ暴動でしたよ、はい(笑)。

 そして、ちばっちさんもお書きのように、この曲で何人もぴったんこさせました(笑)。アイドル的可愛らしさの極北です。そして恐らく、この手の路線は今後減っていくのではないかと思います。

■06.マカロニ

 平和ゾーン3連発のシメは、『BcL』と両A面という名目ながら、実際はほとんどメディアで披露されなかった『マカロニ』。これはもう、PVの幸せぶりをご堪能頂くしかない。ぜひ限定版についているDVDを、擦り切れるほどご覧頂きたく(笑)。

 トラックとしても結構シリアスで、ビッグビートっぽいのですが、Perfumeの声が入るとラブラブな曲になっちゃいます。先ほども書きましたが、僕はこのアルバムで『Perfumeの声』の重要性を改めて認識しました。

 Perfumeを語るとき「中田ヤスタカがすごい」だけでは片手落ち。彼の他のワークスを見ても、こんなケミストリーを起こしているのはPerfumeだけです。彼女たちの声質、とりわけかしゆかの硬質な声質は、実はものすごく貴重なのではないか。

 で、この曲の肝は歌詞でしょう、やっぱ。

 これくらいのかんじで いつまでもいたいよね
 どれくらいの時間を 寄り添って過ごせるの?
 これくらいのかんじで たぶんちょうどいいよね
 わからないことだらけ でも安心できるの

 やっぱ、中田ヤスタカからPerfumeへのメッセージだと思うんですよね、これは(笑)。『クイックジャパン』でかしゆかは「キモ〜い!」と言ってましたが(笑)、中田ヤスタカのメッセージだとすると、色々つじつまも合います。

 要は、アイドルには賞味期限があるわけです。あ〜ちゃんがよく「30過ぎてもPerfumeやりたい!」と言ってますが、現実にそれは難しいと思う。Perfumeの強力な武器である「カワイイ」が、その頃に維持できているかは分からないから。

 もちろん中田ヤスタカの手を離れ、アミューズすら離れ、別のプロデューサー別の戦略による別の曲調を用意すれば生き残りは「ひょっとしたら」あるかもしれません。安室奈美恵のようにジャネット路線での復活もあるかもしれない。それは果たしてPerfumeと呼べるのか、って話ではありますが。

 そういうことを考えると、やっぱり今のPerfumeは咲き誇り、いずれ散ってしまう花だと思った方がよいのかもしれません。その上でもう一度歌詞を読むと、染みます。

 つづきはコチラhttp://d.hatena.ne.jp/KIND/20080420/p3