『GAME』全曲紹介(3)
http://d.hatena.ne.jp/KIND/20080420/p1
http://d.hatena.ne.jp/KIND/20080420/p2
こっちの続き。
■07.セラミックガール
Perfumeネクストステージにおける、シングル曲の基本フォーマット。じゃないっすか、恐らく。
元気いっぱいな曲調、ゴキゲンなベースライン、浴びせかけるようなAメロと、キャッチーなサビ。『セラミックガール』『say love me girl』という言葉遊び。単なるアイドルポップで終わらせませんよな『セラガループ』。そして『この気持ちだけは作り物じゃないでしょ』という、これまでのPerfumeのテーマを踏襲する世界観がある。
『スミレ16歳』というBSドラマの主題歌で、後述の『シークレットシークレット』と共にタイアップつき。ゆえにキャッチーでポップで、もっといえば「おとなしめ」な曲。この2曲はシングルカットされていませんが、まあ準シングル扱いでよいでしょう。
この2曲と、既存のシングル5曲がいわばフック。そして残りの5曲がアルバムエディットで、完全なお楽しみ大会かと。「シングルで引き付けて、アルバムで遊ぶ」というのは常套手段ですが、今までその手は使えなかったわけですからねー。古参ファンには非常に感慨深いのではないでしょうか。
■08.Take me Take me
Perfume史上もっともミニマルな曲。つーかそもそもミニマリズムを発露するような場所はなかったし、「こういう曲をやりたかったのか!」とビックリした、というのが偽らざる本音です。
この曲に限らず、先行発表なしの5曲はいずれも野心に満ちていて震えます。Perfumeというユニットの可能性、アイドルポップの可能性、ポップスの可能性を最大限まで追求している。「ここまでやってもまだポップスでいられるか?」または「J-POP好きのあなた、付いてこれますか?」という挑発を感じる。
といっても、やっぱりPerfumeの声が響いている限りはポップスなんですよね。このミニマルでアンビエント風で、霧の中に迷い込むような曲でも、不思議と不安感はない。いや、「どこに連れて行かれるんだ?」という気持ちにはなりますけど(笑)、Perfumeの3人がちゃんと手を引いてくれるわけです。
歌詞もすごい。全英語詞で、ほとんど「take me tonight」しか歌っていない。そして、プラスティックなかしゆかの声質が最大限に発揮されている。先ほども触れましたが、今後Perfumeのアルバム曲において、かしゆかの声は最大の武器になっていくのではないかと思います。
■09.シークレット シークレット
超名曲、でしょう。過去のシングルに並べてもまったく遜色ない。どころか、ベストに数えられてもおかしくないんじゃないかとさえ思います。
中田ヤスタカはPerfumeの年齢や置かれた状況に合わせて絶妙に味付けした曲を配置してきますが、この曲はまさに現状の、大ブレイクを迎えたPerfumeそのもの。アイドルファン号泣の一曲。もちろん僕は泣きました(笑)。
『take me take me』のミニマリズムを引っ張りながらのオープニングから、一転して元気いっぱいのアイドルポップに戻る。しかし素晴らしいのは、なんといっても世界観です。
本当のキミを 知りたいの
キラキラで目が眩むけど
斜めから恋しながら
その秘密を解いて
足りないよ キミを 知りたいの
触れる指先が切れそうだ
最高の甘い笑顔で嘘ついた
キミはいつでもシークレット
宇多丸師匠が絶賛するように、この曲はもはやPerfumeの常套手段ともいえる「アイドルのメタ認知」、アイドルを演じる自分たちを客観視して曲にするという、誰もができることではない仕事です。某Sさんとお話したときに「現状、Perfumeはキョンキョンを髣髴とさせるね」という話が出たのですが、確かにこの曲は『なんてったってアイドルPerfume版』なのかもしれません。
また、評判になっているpino×PerfumeのMVも本当に素晴らしい。あれこそ、まさにPerfumeサポに向けた贈り物であり、また一面では「過去への決別」にも見えたりする。あのMVについては、別に項を設けて語りたいです。ホントにホントに素晴らしくて、何度見たか分からないぐらい見ましたから(笑)。
そしていよいよ佳境に突入します。つづきはコチラ
http://d.hatena.ne.jp/KIND/20080420/p4