戸田和幸、残留!


 戸田和幸サンフレッチェ広島に残留することが決まった。それも、完全移籍という形で、だ。こちらのエントリーで戸田の残留について悲観的な見方をしていた自分としては、望外の喜びだ。自らの不明を恥じるとともに、心から歓迎したい。

http://www.jsgoal.jp/club/00042000/00042152.html
戸田和幸選手 東京ヴェルディ1969より完全移籍のお知らせ [ 広島 ]
■コメント:
「今回、改めて正式にサンフレッチェの一員になれたことをとても嬉しく思います。よりいっそうの努力を持って、チームのために貢献できるよう頑張ります。」


 もっとも、戸田はシーズン終盤に残留を匂わせる発言をいくつかしており、「ひょっとしたら」という思いもあった。


 公式サイト「VS football」において、「僕もここのところ毎年、年末年始が引越しで忙しいんでねぇ。(中略)だからそろそろゆっくり過ごしてみたいなって(笑)」という発言をしていたり、あるいは広島のファンサービスにおけるアイディアを自ら募集してみたり。戸田がどの時点で残留の意志を固めていたか、それは分からない。だが、この早い段階で契約交渉がまとまったこと、そしてこれらの発言をかんがみるに、シーズン終盤には「広島残留」を決めていたのだろう。


 今シーズンの戸田は、小野剛望月一頼体制でのプレーよりも、ミハイロ・ペトロビッチ体制におけるプレーが際立っていた。本職でないリベロという難しいポジションにおいて、戸田の貢献度は攻守において絶大だった。


 クレバーなだけでなく、攻撃時の展開を常に考えながら、決して受身にならない個人としての守備。数的同数のきわどい展開で、何度も相手からボールを奪い取り、決定的なクロスに対しぎりぎりのタイミングで飛び込んでカットしたりと、その守備範囲の広さ、ポジショニングの確かさは際立っていた。確かにイエローカードはチームでも突出して多い13枚だが、悪質なファウルはほとんどなく、むしろギリギリのタイミングを狙ったがゆえに受けたアグレッシブなファウルのほうが多かった(そして戸田のタイミングは、プレミアリーグなど欧州リーグではホイッスルの対象とさえならないだろう、と思えた)。


 個人としての攻撃面。ビルドアップでは中盤まで顔を出し、中盤で数的優位を作り、サイドにうまく展開し得点機に繋げる「2歩手前」のパスを何本も送った。DFリーダーとしては、ラインを常に一定以上、ペナルティエリアにズルズル下がらないよう保つ。左CBに盛田剛平、右CBに森崎和幸といういずれも本職でないDFを従えながらのラインコントロールは、両者が戸田の指示、カバーリング、ラインコントロールに絶大な信頼を置いていたことの証左にほかならない。個人的には、今野や水本がA代表でCBを務められるなら、戸田にも十分可能性はあると思っている。


 いずれにせよ、戸田の残留によって広島の展望は大きく開けた。ペトロビッチ監督は明言しないだろうが、来シーズンも3バックでいくことはほぼ規定路線となった。あとは、青山敏弘が五輪代表に取られる期間に、どの選手がボランチを務めるかがチームの課題だろう。天皇杯G大阪戦で見事な舵取りを見せた森崎浩司、現在はリハビリ中の高柳一誠、愛媛へのレンタル移籍から復帰する高萩洋次郎らが候補となる。そして何より、個人的に最も懸念していた「4バック化による森崎和幸の出場機会減」という事態がほぼなくなったことが喜ばしい。

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