J1第28節C大阪戦雑感


 雑感というかね、怒りですよ怒り。勝つことも引き分けることもできた試合で4点も取られる、このチームの「サッカーの下手糞さ」にはガッカリです。向こうがやってくることは分かりきってるのに受けに回ってその通りやられて、こっちがやりたいことを自らやりづらくして。

C大阪 vs 広島:ペトロヴィッチ監督(広島)記者会見コメント
C大阪 vs 広島:塚田雄二監督(C大阪)記者会見コメント
各選手コメント


 「うちが今日負けたのは、駒野がボランチのポジションをやったからではなく、走った量が足りなかった、そしてミスが多かった。そこにうちの敗戦の原因がある」。ペトロビッチのコメントがすべて。


 先手を取らせたら向こうのペースになる。こっちのウィークポイントと向こうのストロングポイントがモロにぶつかる形になるから。それを避けるためにはDFラインにプレッシャーを掛けること。勇気を持って押し上げて、中盤の高い位置でボールを奪うこと。セレッソのピンゴも下村も、一発のロングパスはあってもゲームを作る展開力はない。相手DFラインの前に網を掛けていけば、相手は蹴ってくるだけになる。西沢の足元に入らなければ、セレッソは形を作れない。実際、後半から2トップに代わり、ある程度プレスが掛かった時間帯では相手のサイドを押し込んで、クロスに飛び込む人数も増えた。そうなれば、フィニッシュまでの精度はこちらの方が上。


 だけどそれも全て先手を取ってこそ。取られたら「ああなる」ことは分かりきっていた。前半15分までに相手を押し込んでおけば、セレッソは自ずと崩壊するはずだった。それができなかった時点で半分負けは決定だった。決まらなかったのは、相手の精度の低さ。序盤3度作られた決定機はいずれも「崩されて」のもの。だけど、下田のビッグセーブもあって決まらない。その後は、相手も繋ぎでパスミスを連発して、何度もこちらに流れをプレゼントしてくれた。その時点で落ち着いてボールを回し、ポゼッションを高め、「まだ0−0だ」という意識をチーム全体に浸透させる必要があった。


 だけど、このチームは、焦る。3度も決定機を作られたら「やり返そう」として、確率の低い裏へのパス、角度の厳しいウェズレイへの無理筋なクサビを入れてしまう。あとは、長居第二の芝がやや深かったせいか、ショートパスのなんでもないつなぎをことごとくミスしてしまう。そうして、奪いかけたペースを再び相手に渡す。「球蹴りが上手いけどサッカーは下手」なチームの典型だよ。


 流れをつかむ、引き寄せる、取り戻す、そのためにはチェンジオブペースが必要。そのためには「経験」が必要。このピッチでそれを持っていたのは戸田だけだった。だけど、その戸田ですらミスパスがあった。チームにかぶさった「焦燥」という大きな波に飲まれてしまっていた。


 システム的にいえば、「この現状」では1トップは無理だった。2トップを崩すとDFラインを追い回す選手が決まらなくなる。2シャドーがどこまで追い込むのか、その場合DFラインは、中盤は連動して押し上げるのか、その共通理解がない。だけど、それも結局はメンタルな問題に帰する。システムどうこうではなく、「主導権を握ってやる」という野心が足りない。戸田は何度も「先手を取られないように」と言っていたけど、現状ではそれが正しいし、それが浸透していない現状は「ビビッてるから」の何ものでもない。仕方のないことでもあるが、そう言ってられる順位と勝ち点ではない。


 新監督が就任して、まだ3カ月しか経っていない。今シーズン中に完成なんてしない。する訳がない。それでも、勇気を振り絞ってほしい。迷いを振り切ってほしい。


 広島は強い。自分たちの形を作れば、浦和相手でさえゲームを支配できる。だけど、弱い。先手を取られれば、C大阪にさえ一方的にやられてしまう。そういう現状で何をすべきか、超がつく苦手チームであるFマリ戦までの1週間でよく考えて欲しい。何のための選手配置なのか。なぜカズが右CBで、アオが1ボランチなのか。守るためならコマはほかにいる。「主導権を握るため」以外にないだろう。


 選手がそれに気付き、勇気を振り絞らない限り、Fマリ戦も負ける。そうなれば、ボトム3の結果次第では残留争いに加わることになる。この1週間のトレーニングが、広島にとって今シーズンを左右する分水嶺になるだろう。



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