ガーナ戦各論調比較(下)

 やっぱりスポーツ新聞はほとんど面白くないので、ライターやコメンテーター、解説者、ブロガーのコメントを中心に採取しました。

■デイリースポーツ
http://www.daily.co.jp/soccer/2006/10/05/0000129370.shtml
求む海外組!オシム日本世界を痛感
 世界の壁は厚かった。アフリカ最強のガーナに結果は最少得点差での敗北。だが見せつけられた力の差は大きかった。試合終了のホイッスルを聞いたオシム監督の脳裏に浮かんだのは、毎週世界レベルの欧州リーグで切磋琢磨(せっさたくま)する海外組の姿。「欧州でプレーする選手を呼ばない期間が長すぎたかもしれません」。やはり、海外組は必要だった。


 見出しの印象操作の典型例。デイリーさんはこういうのが本当に上手い。昨日の記事では、「対世界戦シフトは「9-0-1」」とかすごい見出しを書いちゃうし。でも実際はオレの思ったとおり、守備意識は高いけどしっかりと攻撃にも参加する試合になった。幸いスポーツナビさんにコメント全文があるので、普通に批判をすることができます。「守備意識を高める練習とフォーメーション練習を一緒にするな、悪質だ、メディア・リテラシーだ、イエロージャーナリズムだ、ワーワー」とか。


 まあでも、この手のあおりは嫌いではありません。というか、あおりの上手さというのは何につけても重要なことなんですよ。幸い、今は読み手が判断する材料がたくさんある。「スポーツ紙はそういうもの」、プロレスみたいに考えて話半分に聞いておけばいいんです。それか、僕みたいに「メディアに頼るの、やめてみるよ!」って宣言しとけば(笑)。もっとも、メンバー選考をいちいちメディアに頼る必要はない、というのは僕の中で結論がつきましたけどね。どこが正確な情報出してました、昨日のスタメンについて?

セルジオ越後 ちゃんとサッカーしなさい - nikkansports.com
http://blog.nikkansports.com/soccer/sergio/
今のJのレベルじゃ世界に通用しない
強いガーナ相手に対して惜しかった場面も確かにあったが、サッカーのレベルは違っていたね。攻めているように見えても、得点できなかったのは、ガーナの守備陣がミスをしても、あわてずに、きちんと対応していたからだ。選手個々の差もあった。
(中略)
残念ながら日本は、現時点でJリーグで活躍し、結果を出している選手を起用しても、世界では通用しないことをあらためて知らされたということだ。


 まったく仰るとおり。グウの音も出ないほどのコメントだと思う。「世界クラス」のレベルを、Jリーグでいつもプレーしている選手にいきなり求めるのはムリ。段階的に順応する必要があるし、だからガーナのような相手とたくさん試合を組めたら良い。あるいは、海外にじゃんじゃん選手を出して「世界レベルを体感」させれば良い。ただ現実的にそれは可能なのかどうか。

低いレベルでの競争意識では、世界レベルのガーナのようにランク上のチームには勝てない。日本代表での強化ではなく、もっとも大事なJリーグで、強い外国人選手との厳しい競争の中で選手の強化をしなければ、世界との差はどんどん離れていくばかりだ。(日刊スポーツ評論家)


 この人の発言は「主張」が正しくても、「代案」としてはうなづけない部分が多々ある。例えば「強い外国人選手との厳しい競争」というのは、アウエー戦を沢山やれってことでしょうか? それとも「選手をどんどん輸出せよ」と? 前者についてはスポンサーとの絡みがあるし、後者については「いかに移籍金を捻出するか」にクラブの財政が掛かっている(国内に売った方がはるかに移籍金が取れる現状を見よ)し、いずれにせよ簡単な問題ではない。そのあたり、「レベルが低い」と切って捨てるだけの立場の人はラクチンだね、と皮肉の一つも言いたくなる。


 よく読んだら、「もっとも大事なJリーグで、強い外国人選手との厳しい競争……」と書いてますね。つまりこれって、僕が言ってることとまったく同じ「Jリーグ各クラブにおいて強化するしかない」ってことです。フツーに読み間違えてました。セルジオさん、ゴメンナサイ。

湯浅健二ホームページ・トピックス
http://www.yuasakenji-soccer.com/yuasa/html/topics_3.folder/06_OJ_7.html
(中略)
でも、喉元のトゲがすっきりと取れたというわけじゃない。それは、選手たちが「ゲーム戦術」を気にし過ぎていたかもしれないという感覚に苛(さいな)まれているからです。選手は、与えられたゲーム戦術を「超越」するくらいにリスクにチャレンジしなければならないのであって、そのゲーム戦術カゲに「隠れて」しまうようではいけません。でもこの試合では、どうも、そのゲーム戦術を「アリバイ」に使っていたシーンもあったというスッキリしない感覚が残っているのです。

 例えば、スリートップの両サイドに張った佐藤寿人山岸智。彼らのパフォーマンスについて、どうも、もっと出来るはずという不満ばかりが残るのです。彼らに与えられた、ゲーム戦術的な守備のタスク(役割)は、たぶん、ガーナ両サイドバックのオーバーラップを抑えるというものだったのでしょうね。彼らのプレーイメージから、如実にそのことが感じられましたよ。でも、(守備に入った状況で)そのガーナ両サイドが上がらない場合は、そのまま歩いて休んでいる。しっかりと考えていれば、もっと効果的に(隣接ゾーンで展開されている)ボール奪取勝負に絡んでいけたのに・・。


 その要求は分かるけど、酷ですよ。彼らの日程やトレーニング期間とかシステムへの順応性とかスタメンとの兼ね合いとかコンビネーションとか、いろいろな「ストレス要因」を考えれば。多少抜く時間があっても良いと思うんですけどね、僕は。つか、まだ「テストの場」として与えられた親善試合はこれが2試合目。いきなり本番の予選が3試合もあった分、トルシエよりもジーコよりもオシムのほうが状況は厳しい。そんな中であまり性急に完成度を求めていくのはどうかと。


 常にFWが守備に関わっていくのが湯浅氏の理想なんでしょうけど、ボール奪取に前線が常に挟み込みにいっていたら、やはりその後のカウンター時に走力が残らなくなる。交代を考えて全力でやる、という考え方もあるけど、寿人のようなストライカーは自分で点を取りたいわけだし、「最終勝負へのスタミナを残す」というサボリは許容範囲として収めても良いんじゃないですか? オレはそう思うけど。

二宮清純責任編集「SPORTS COMMUNICATIONS」
http://www.ninomiyasports.com/xoops/modules/news/article.php?storyid=5864
オシム監督が課題に挙げたとおり、フィニッシュの精度の低さが今回の試合では顕著に表れた。工夫ある攻撃はできつつある。前半終了間際には、ワンタッチのパスをつなぎ、最後はタイミングよくライン裏へ抜け出したMF遠藤がパスを受ける場面が観られた。惜しくもオフサイドになったが、通れば1点もの。上述の後半10分のシーンも、サイドを大きく使う迫力ある展開だった。問題は最後のワンプレーだ。


 ホントに、そうなんだよね。「1度しかないチャンス」と思って固くなるのが日本の選手。「1度しかないチャンス」と思って集中力を研ぎ澄まし、力が適度に抜けるのが海外トップ選手。そこはもう、Jリーグでシュートを外した選手に対して名前コールでなく「猛烈なブーイング」をするとか、プレッシャーを与えるしかないのでは。でもそれだとやっぱり固くなるのか。じゃシュート練習しかねぇな。ジーコ正しいじゃん。

■タマキのナンヤラカンヤラ
http://www.tamakimasayuki.com/nanyara.shtml
10月4日(水)
日本0−1ガーナ。一瞬のスピードの違い。それを日本人が身につけるためには…練習に相撲の立ち会いや剣道を取り入れることと裂帛の気合いという漢字を読めるようになること…かな…。


れっぱく 【裂▼帛】
(1)帛(きぬ)を引き裂くこと。また、その音。
(2)激しい掛け声や女性の悲鳴のたとえ。
「―の気合」「助けを求める―の声」
(3)ホトトギスの鳴き声


 ホトトギスみたいに鳴けば良いってことかな。そういや、ヴェルディ入団当時の土屋征夫(現大宮)は、ボールを要求する時に「ホーッ!」って言ってたらしいよ。あれに「ホケキョ!」といえばOK!(違う)。

缶 詰 に し ん:「ここまで来たか」、な、ガーナ戦。
http://blog.drecom.jp/soratobi/archive/1151
方向付けとしては選手が入れ替わっている割に
予想以上に順調に来ていて僕個人はびっくりしました。
もっとこの方向性に振れて行くには
時間がかかるというか、もう少し後に、まとまって集まった後に
出来てくるものなのかなって気がしていましたので。


 一番シックリくる論調でした。あらゆる状況を加味すれば、まだまだチームの未来を論じる段階ですらない。日本人は心配しすぎなんですよ。オシムに対する批判精神を持つのは構わないが、あらゆる要素を常に考慮に入れないと賞賛も批判も意味がない。そういう意味で、にしん氏のコメントは常に「状況的」。オポチュニズム(日和見主義)、ではないですよ、もちろん。


サッカー蟻地獄:隊長
http://blog.fckbu.jp/archives/2006/10/saki.html
■寿人
記憶によると、シュートゼロ。
まあ、役割が役割だっただけに仕方ないか・・・?
このままDFWとして使われないことを願う。
交代して思ったんだけど、羽生と動きのタイプがちょっと似てるよね。

でもなぁ。。。寿人はストライカーでよろしく。


 同じく……でも、イエメン戦の後半で、3トップの左みたいな使われ方をした時間帯を見て「これは、そういうことなんじゃないのか」「寿人のクロスの上手さを評価して……」ではないのか、なんてことをちょっと思ってた矢先のことです。相手がガーナという世界レベルの相手だから、いわゆる「世界仕様」だったんだと信じたい。信じさせてくれ。

■駒野
そして、こういう布陣だと慣れている駒野が生きると言うことも予想通りだった。
駒野の周りにはボランチやトップ下だけではなく、下がり気味の寿人や上がり気味の今野までいるのだから。これだけのサポートがあっていいプレイができない駒野ではない!

この間からよく見せる、サイドをDFと崩す動き。今回のパートナーは今野や鈴木啓太。何度も裏を取って切り込んだり、クロスを上げたり。中へ切り込んで巻へスルーパスを送ったり、シュートを打ったり。

みなさん、これが広島の誇る駒野です。これが本当の姿です。


 激 し く 同 意 ! ! ! ! 1 1 1


 ただ、まだまだやれるっしょ。クロスの精度にしても、シュートの狙い目にしても。


■majestic blue:z-net blog
http://blog.livedoor.jp/znet/archives/51191994.html
ガーナ戦 今後の基準となるマンツーマン・ディフェンス
(中略)
守備の際は相手のトップ下がいないので、鈴木啓はいつもより高めの位置で遠藤とともに相手のボランチのゲームメイクを封じようとプレッシャー。佐藤寿人は可能な限り下がって相手の右SBにプレッシャーをかけて攻撃時にはできるだけ前に出ていました。佐藤寿人の負担は尋常ではないですが、これは途中交代を想定してるのでOKというわけです。


 これ、「スタンダード」にしちゃうの? ガーナという極端に1対1に優れる選手へのアプローチ方法の一つだけど、しかも6人まで交代OKという親善試合でしか使えない手法だと思うんだけど。僕はやっぱり、サイドバックに2シャドーがそのままついていく方法は問題がありすぎると思う。負担が掛かりすぎる。どこかで受け渡すべきだし、そうするとある局面でゾーンマンツーを採用するべきだし、個人がもっと「あのストライド」に慣れる必要性がある。これは、あのクラスのチームと試合を重ねていくしかないのだろう。

■SOCCER UNDERGROUND BLOG
http://soccerunderground.com/blog/archives/000762.html
ガーナサッカー協会ニャホニャホ・タマクロー会長、ありがとう!!


==追記==

コメント欄で御指摘があったとおり、ニャホニャホ会長はもう辞めちゃっていたそうです…


 相変わらず面白い視点。でも、ニャホニャホ・タマクロー会長の辞任を知らなかったのは意外。というか、UGさんは辞任エントリーを書いていたような気がするんだけど、勘違いだったのかな?


 最後に、一番笑ったブログ。一応18禁ネタ。

萬の季節
http://d.hatena.ne.jp/aestacao_do_man/20061005
風俗版オシム語録

戦術面はまったく問題ない。しかし個人スキルの点で少し問題がある。店のオプションのクオリティーの高さ、アイデアの豊富さ、そのアイデアを個室のプレッシャーの中で出せるか。童貞はプレッシャーのない妄想の中でなら、アイデアもあって、それを実現できる。ところが大事なのは、生身の女の前でそれを実現できるかどうかということ。


 爆笑。

↓お陰さまでトップ10入り果たしました!
 これからもどうぞよろしくお願いします!

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