さあ来い川崎!

 実際はアウエーなので、こちらから出向くわけだが。そんな日本語の意図的な誤用から書き出してみるのは、我がサンフレッチェ広島の話である。


<川崎を攻略するために>


 これまで、数回にわたって川崎の試合を取り上げ、自分なりの分析を試みてきた。それはもちろん、川崎のサッカーそのものに惹かれていたからに他ならない。だが、それ以上に、第25節で対戦する強力な相手として、「どうやって彼らを攻略すればよいのか」という観点があった。


 現在15位の広島にとって、残留争いから抜け出すためには、アウエー2連戦(次節は小瀬にて甲府戦がある)となる第1戦には必ず勝ち点がほしい。広島は、J2降格圏内である16位京都と勝ち点差8をつけている。だが、京都と17位福岡とは直接対決を残している。もし川崎戦に敗れ、京都が2位浦和から勝ち点を取るようなことがあれば、差は最大で勝ち点5にまで縮まる。そうなれば、京都には希望が出てくるだろう。勝ち点差8は、まったく安全圏ではない。川崎相手といえ、「絶対に負けられない戦い」は続くのだ。

 一方、3位の川崎にとっても、この試合は重要だ。彼らはナビスコ杯準決勝2NDレグを含めると、ここまで3連敗。3試合すべてで3失点以上を喫し、前節の首位G大阪戦では0−4という悪夢のような大差で敗れた。しかも、その試合でFWマギヌン加地亮への危険なタックルで一発退場し、広島戦は出場停止。また主力ジュニーニョがやはりG大阪戦で負傷退場し、「右足ハムストリング肉離れで全治まで2〜3週間程度を要する見込み」だ。首位G大阪との直接対決に敗れ、残り試合が10試合というところで勝ち点差は8に開いた。その上、マギヌンを2試合、ジュニーニョを同等の試合数欠く公算が高い。この上なく厳しい状況だが、優勝争いに踏みとどまるためには、ホームの広島戦を落とすわけにはいかないのだ。


 広島は、ベットの件については
 とりあえず頭から追い出せ。


ジュニーニョ抜きでも川崎は強い>


 さて、広島にとっては、有利な状況である。最も恐ろしいジュニーニョの出場が微妙で、さらにこのところ調子を上げていたマギヌンは出場停止。我那覇と2トップを組むであろう黒津勝(あるいはチョン・テセ)は身体的に優れた好選手だが、ジュニーニョほどの迫力はない。トップ下に入るであろう今野章(あるいは原田拓)もまた、マギヌンのスピードや一発のミドルを備えているわけではない。


 ただ、川崎は今シーズン、ジュニーニョを欠いて臨んだ試合でいずれも勝っている第11節福岡戦(2-1)、第21節千葉戦(2-1)がそれだ。試合内容はJ's goalレポートをリンクに張ったので参照して頂きたいが、特に千葉戦は中村憲剛ミドルシュート谷口博之のヘディングシュートで勝利を収めている。ジュニーニョを欠いたからといって、川崎が川崎でなくなるわけではない


 また、G大阪戦のショッキングな敗戦から1週間が空く。川崎のクールダウンには十分な期間だ。彼らはG大阪に対して「1人少なくなり、ジュニーニョを失う」というこれ以上ないほど不利な状況に陥りながら、諦めることなく攻めの形を模索した。惨敗の屈辱をモチベーションに転化させ、勝利への意欲をみなぎらせてくるに違いない。「気持ち」の面で彼らが落ちることは、ハナから期待しないほうが良い。広島にとっては、極めて危険な相手となるはずだ。


 広島は、G大阪のように中盤守備が強いチームではない。磐田のように、相手に合わせてサッカーを変えることもできない。確かに青山敏弘柏木陽介に代えて李漢宰森崎和幸ボランチに並べ、右CBに盛田剛平を据え、低いゾーンを敷けば「あるいは」川崎の勢いを止めることができるかも。だが、こういう後ろ向きな考え方は、広島のミハイロ・ペトロビッチ監督の頭には存在しない。広島は間違いなく、大宮戦と同様のスタメンで臨むはずだ。


<手負いの獅子に止めを刺せ!>


 そうなると、重要なのは何度も言うことだが「受けに回らない」ことである。G大阪や磐田が取ったように、佐藤寿人ウェズレイ森崎浩司柏木陽介は、相手DFラインもさることながら中村憲剛谷口博之へのマークを徹底すること。ボランチは、不用意にサイドにつり出されないこと。両サイド、特に右サイドの森勇介はある程度縦に行かせ、クロスを上げさせること(その際、中央のマークを徹底すること)。攻撃面では、2トップは縦の関係を作り、相手3バックから1人が浮くような形を作り、マークの混乱を図ること。攻撃的MFはそのスペースを常に狙い、行くタイミングでは全力で走りきること。DFラインは怖がらず、バイタルエリアをしっかり埋めること。パス回しは、右サイドにこだわらず、ピッチを広く使って攻撃を仕掛けること。つまり、「いつもどおりのことをやれ」ということだ。


 認めたくないが、広島と川崎のチーム力には明らかに差がある。ただ、その差は選手の力量ではない。「自分達のサッカーへの確信」である。一方的になぶられる、ということはありえない。勝機はある。ただ、その条件は「練習通りのサッカーができるか」である。


 広島は、とにかく集中を切らさないことだ。状況別勝敗を見ると、川崎は先制した場合の勝率が75パーセント。一方、広島は先制された場合の逆転勝利した割合がなんと6パーセントである(まだ1勝しかしていない)。なんとしても先制点を与えてはならない。


 川崎は、自分達のサッカーを貫く。広島はどうか。手負いの獅子に噛み殺されるか、止めを刺すか。すべては自分たち次第だと考える。

↓お陰さまでトップ10入り間近です! 良かったら押してください。

blogランキングへ投票する