J1第24節新潟vs甲府(3-0)[上]

※このエントリーのテーマは、「広島から見る甲府対策」です。新潟サポ、甲府サポともに十分な注意を払っているつもりですが、気に障る表現があったらごめんなさい。

Jリーグ公式記録
新潟 vs 甲府:鈴木淳監督(新潟)記者会見コメント 
新潟 vs 甲府:大木武監督(甲府)記者会見コメント
新潟 vs 甲府:試合終了後の各選手コメント
以上すべて[ J's GOAL ]

-1人相撲の“川中島

川中島”決戦は、ある意味甲府の一人相撲に終わった。甲府の長所である「ダイナミックなポジションチェンジ」は得点につながらず、甲府の短所である「甘さ」「若さ」はことごとく失点につながった。甲府のミスを逃さなかった新潟を褒めるべきではあるが、両者が展開したサッカーの質を思うに、「サッカーとはそういうもの」と一言でまとめたい気分ではある。

 ここに、興味深いデータがある。甲府の第24節までの成績は8勝4分け12敗。うち、先制点を取った試合では7勝2分け1敗。勝率は7割である。他チームに比べ突出して高いわけではないが、優れた成績だ。だが、先制できなかった試合は1勝2分け11敗、つまり約8割の確率で負けていることである。先制点を奪われれば、ほとんど抵抗できず敗れている、ということだ。「先手必勝」というよりは、「後手必敗」と言って良い。そして今回も、甲府はこの不利なデータを覆すことはできなかった。



-<甲府、幻惑的な3トップ>

 試合は、序盤から甲府の一方的な展開となった。甲府は高い位置でプレッシングを仕掛けてボールを奪うと、3トップがワイドに開く。そしてFWの空けたスペースに、藤田健石原克哉、さらに左サイドバックの山本秀臣、右サイドバック杉山新が次々と攻撃参加してくる。アンカーボランチの林謙太郎を逆三角形の底に残し、常時5人から6人が最終的に攻撃に絡んでくるわけである。

 その中で、甲府の3トップは興味深い動きをしていた。3トップの並びは、左からバレー、茂原岳人山崎光太郎(途中から長谷川太郎)の3名。通常3トップというと、中央に身体が強くポストプレーに長けたセンターフォワード(CF)を配し、その両脇に動き回るタイプの選手を2名配置するのがセオリー。しかしこの布陣では、本来は上がり目のボランチである茂原が中央を務め、CFタイプのバレーは最初から左FWとして配置されているのだ。

 この狙いは大きく分けて2つあった。1つは、ミスマッチを狙うこと。190センチのバレーを新潟の右SB三田光(181センチ)にマッチアップさせ、高さでの優位を狙い、かつ1対1に強いバレーの特長を生かす狙いだ。

 だがもう1つの狙いは、ポジションチェンジによってマーカーを混乱させ、受け渡しのミスを起こさせることである。通常時、バレーは左に張ってポストになったり、そこからドリブル突破を仕掛けていく。だが、この攻撃はあくまで右サイドからの布石。この布陣の真価は、中央の茂原が右に流れた際に、バレーがファーポストから中央に入ってきた時に発揮される。
 
 4バックにおいて、左に張った選手を見るのは通常右サイドバックの選手。よって、左でバレーがボールを持った際には三田がマークについていた。しかし、バレーは茂原の右へ流れる動きに連動して、センターへ自在にポジションを移動した。そうなると、マークはCB2名の役割となる。だが、右サイドからのクロスに対応しながら、死角となるファーポストから入ってくるバレーを見るのは至難の業。必然、CBはさかんに首を振り、バレーのポジショニングに気を配らねばならなかった。

 この形が生きたのが、前半11分のシーン。茂原が右サイドのコーナーフラッグ付近に流れて基点となり、山崎にバックパス。山崎は中央へクロスを送ると、そこに飛び込んできた藤田がフリーでシュート。GK北野貴之が弾いたこぼれ球に、ファーポストに流れたバレーが再び足で触った。惜しくも得点にはつながらなかったが、バレーに気を取られ、中央にポッカリとスペースを空けてしまったシーンだった。新潟の鈴木淳監督から盛んに三田とCB海本慶治に対して「バレーの見方」への指示が出ていたことも、新潟の守備がいかにこの連携に手を焼いていたかが推察される。

<後半へつづく>


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