続々「意図的なバブル」を作り出せ

 「サッカー蟻地獄」の隊長、「doroguba〜football column〜」のdoroguba氏と、ネット界の錚々たるメンツからトラックバックを頂いて若干どころでなくびびっているKINDです(笑)。どうも、こんばんは。

 ええと、隊長への再レスをして「この話は一回終了!」と考えていたところなので、まずは隊長に再レスを。といっても、短いです。

http://blog.fckbu.jp/archives/2006/09/xwalaxwaldv.html
■スタジアムにいる人が新しい人を連れてくる
連れて来られた人はスタジアムの非日常的な雰囲気や勝利、好きな選手、そしていつもと違ってサッカーに対して雄弁に、楽しそうに語る友達に出会い、何らかの形でサッカーの魅力にとりつかれる。

 この意見には、まったく賛成なんです。要は、「メディアを通じて仕掛けたライト層の誘導」があって、そこで「不純な動機でやってくるライト層」を「スタジアムの魅力」で捕まえるまでが僕のスキーム。ホラ、御宅の表札に書いてあるアレですよ、
蟻 地 獄 (笑)。

 ただ、これ以降話を広げるためには「スターシステムの導入方法」まで話を突っ込んでいかないと面白くなくて、そのためには「もっと色々と勉強しないとダメだなぁ、仮説って言っといてよかったなあ」(笑)と思っていたところ……dorogubaさんにそこを突かれてしまいました。


-Jは、もっと全国メディアを利用せよ!

http://doroguba.at.webry.info/200609/article_22.html
たとえばジュビロ磐田の中山みたいな「テレビ的」な才能ある選手でサッカーもうまい選手が求められると思うのですが、そういう選手はなかなかいない気がしますし、サッカーで人気出る前にテレビで使ってもらえるほど世の中甘くない気がするわけですよ。ジャニーズやお笑いなどテレビで活躍している人は「それができる才能」があり、ただ単に顔がいいだけではないわけで、Jリーガーからアイドルを作るのは簡単なことではないと思うんですよね。

 いや、僕が真面目に考えていたのは論の骨組みまでで、具体的な実践論についてはコソクにも逃げを打っておりました(笑)。ごめんなさい。

↓↓↓コソクな逃げの典型(笑)↓↓↓

http://d.hatena.ne.jp/KIND/20060921/p1
 もっとも、この議論には穴がある。例えば「スターは作るものではない」という意見、「Jにどういうバリューをつけるのか、具体案は」という意見、さらに「現状では代表人気にあやかって、それからプロモーションする方法しかないのでは?」といった意見には、反論しづらい。だからこそ、仮説である。

 さすがに、「実績はないが現時点でそこそこの実力があり、将来性があり、顔やキャラクターが特徴的な選手の実効性あるプロモーション案」について具体案を持っていたら、とっくにどこかの代理店に話を持ち込んでます。だからこそ「仮説」と銘打ってるんですよね。だから「こんな仮説どう?」という放り投げの部分はあります。ごめんちゃい。

 ただ、分かって頂きたいのは、「全国メディアをもっと利用しろ!」という主張そのものは決して不真面目ではない。Jリーグ開幕から12年を経て分かったことは、「地域密着モデルは、大きな市場を生み出すには時間が掛かりすぎる」ことだからです。だからこそ、もっと全国メディアを利用して欲しい。


-地域密着「だけ」では限界がある


 開幕時からJリーグはとかく「サッカーそのものの純粋性」を守ってきていて、それはあの当時の企業スポーツからの脱却、地域密着の理念を訴える上では非常に重要なことだし、必要なことでした。

 だけども、開幕から12年が経ち、地域密着の理念だけでは黒字チームもほとんど出ず、累積赤字が解消するメドはなかなか立たず、親会社から手放されればあっという間に消滅するチームはたくさんある(もちろんサポーターはそれを許さないでしょうが)。スポンサー集めの際に「スポンサー側のメリットはどこにあるの?」と聞かれて返答に窮したという営業担当者の話もある雑誌で読みました(あえて名前は出しません)。

 あるいはテリー伊藤とケン・ファウソの共著「やぶにらみ日本サッカー改造計画」という本では「ウチは黒字ですよ、1000万円」という匿名の(ただ、話の流れからどこのチームかは分かる)広報担当者のコメントが紹介されています。

 地域密着モデルは、浦和や新潟以外のチームでは、営業担当者の血のにじむような努力と、スポンサー側の温情ともいえる出資によって成り立っている部分が大きい。黒字幅を大きくし、プロスポーツとして「夢のある」状態にするのは、このままでは難しいと思うのです。だからこそ、現時点で「もう少し全国メディアを利用しろよ」とも思うわけです。

 例えば『珍プレー好プレー』。あれがなくなった経緯は忘れてしまいましたが、当時の川淵チェアマンは「珍プレー好プレーは絶対にやらせない」とし、実際に1、2度放映されたきりなくなってしまいました。今同じ事をやっても大した視聴率は取れないでしょう。

 ただ、『好プレー』を重点的に取り上げることによってスポーツの純粋性は毀損されることなく報道できますし、その上でバックパスがそのままゴールとか、そういう珍プレーを何度も放送するのはアリだと思います(そんなことで本気で傷つく選手は、ちょっとナイーブすぎる)。また、報道でない番組の中でなら、隊長が言うようなスタジアムの面白さを紹介していくことは可能でしょう。また、そういう場を作れば、パンチ佐藤のように「レギュラーは取れないけど面白いことを言う」キャラクターは生きる場を与えてもらえるでしょう。そういった選手は、J30チームもあればどこかにいると思います(残念ながら広島にはいないですが(笑))。3年でクビを切られて、社会人リーグでアルバイトしながらサッカーを続ける道よりは、そういったタレント転向への道があっても良いのでは、と思います。


-再ブームを起こし、当時の反省を生かせ


 地域密着モデルをうるさく言うけど、最初にJができたときに、いったい「地域密着モデル」を経てJデビューしたクラブがどれだけあったのか? 実際のところ、J発足時にほぼ何もない場所からここまで来たのは1991年にジーコがやってきてすべてを立て直した鹿島と、三菱という「よそ者」を誘致し、広報担当とサポーターが時間をかけて密接な信頼関係を築いてきた浦和(浦和の元広報は「ミスター」なんて呼ばれてますね)ぐらいではないのか。

 ほとんどのチームは「何か新しいプロチームができたね」「ブームらしいから行って見るか」でお客を呼べたにすぎない。チーム独自の効果的な経営努力はほとんどできず、だからこそブーム終焉とともに観客動員数が激減し(現在はチーム数増加もあって回復していますが)、民放をはじめとする全国主要メディアからは完全にソッポを向かれたわけです。

 一方で新潟や仙台、甲府といったところは、最初はプロではなかった。母体となるチームはすべて社会人チームで、練習場やクラブ事務所の確保もままならなかった(湘南の練習場移転問題、少し前までの横浜FCや神戸のクラブハウスなどがその例)。また県立甲府第一高校のOBチームが母体となっている甲府はJ2で何度も最下位になり、1999年にはリーグ25連敗(現在は引き分けを除いた17連敗とされているようですが)という不名誉な記録を作り、2002年にはJから準会員資格剥奪をちらつかされるまでになった。

 しかしそういう逆境の中にこそ、共有されうるドラマは成立しやすい。新潟や仙台、甲府のサポーターにも何人か知り合いはいますが、やはり彼らは「オレたちのチーム」という強い気持ちを持っています。またクラブ関係者は事あるごとに地域からのサポートに対し心から感謝の念を言葉として述べる。それは、実際に甲府のように小口スポンサーで賄ってもらっているクラブは当然のことだし、クラブの財政やスタジアムの規模など含めたサイズはまさに現状が適正なものとなっている。そういったものがまさに地域密着であり、名目ではなく事実として「チームをともに作り上げてきた」からこそでしょう。

 しかし同じような流れは、「新しくできたプロチーム」にはもう起こしづらいと思うんですよ。まさか、全チームがJ2落ちを経験し、「J1に這い上がるドラマ」を共有するわけにもいかないし(笑)。

 だからこそ、僕はもう一度ブームを起こしたいと思うのです。そして各チームは、1993年当時のブームにおいて反省すべき点を反省し、今度は、当時は存在し得なかった隊長のようなサポーターをうまく利用し、「スタジアムそのものの雰囲気」で蟻地獄(笑)に引き込む。それが、僕の理想です。

 ただ、ブームを起こすための具体的な方法論は……残念ながら、ここが僕の限界(笑)。「何をすべきかなぁ」というのは、もちろんまったくノーアイディアではなく、ある程度説得性を持たせるために今は公開する段階ではない、という感じです。

 このやり取りをご覧の皆さんで、「再びJにブームを起こす」良いアイデアがあったら、ぜひ教えてください。長くなるでしょうから、できればトラックバックで。

 久々に、頭使ったぁ〜(笑)。でもこういうやり取りができるのが、BLOGの楽しさですね。



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