追記:「意図的なバブル」を作り出せ

 一応、追記的なものを書いてみる。

 日頃から付き合いのある隊長は「スタジアムの雰囲気こそ一番の吸引力だ」、という主張をよくしている。それはまったく同感だし、サッカー文化を発展させる上で正論を述べていると思っている。だが、今回の「メディアにJがどう取り上げられるか」という話の中では、どうだろうか。サポーター文化というものの位置づけは、どうなのか。

 正直、まだなんともいえないと思う。柏の応援が面白い、駒場埼スタの雰囲気が素晴らしい、FC東京ユルネバ(You'll never walk alone)には鳥肌が立つ、大宮のダンマクはコミカルだ……それらは全て、素晴らしいものだ。だが「スタジアムに行かないと分からないもの」であると思う。

 よって、Jの魅力を伝える一環として「サポーター文化」視点の報道を全国放送でやってほしい、と僕も思う。だが、サポーター文化のニュースバリューはどれほど大きなものだろうか? 現状の「代表視点報道」の代わりに上記のような視点で、「それってニュースバリューあるの?」という反論をかわせるだろうか。

 実際なところは、やってみないと分からないかも知れない。だが、少なくとも僕は「バリューがある」と取り上げられることには懐疑的だ。例えば僕は、浦和レッズのサポーターを取り上げた本の編集に携わった経験がある。あるいは現在サポーター視点のサッカー本として「ULTRA SOCCER」というムック本が発売されている。だが、その本がどれほどの売り上げを挙げたのか。正確な数字を公表することは当然ながらできないし、公称何万部なのかもよくわからない。が、少なくとも、ベストセラーになった、とはいえないだろう。ニュースになるためには、その程度のバリューは必要ではないかと思うのだが、どうだろうか。

 サポーター文化自体は僕も非常に好きだし、時間が合えば広島のゴール裏に行くことはしている。だけど、現時点でサポーター文化はメディアに載せにくく、「スタジアムの魅力の一つ」であっても「素人への訴求因子」ではないように思うのだ。

 現状、スタジアム文化の素晴らしさというものはメディアでは伝えにくく、「スタジアムに来てはじめて分かる」あるいは「スタジアムに来た客を掴んで離さない」ものではないのか、と思う。

 だからこそ、僕の「意図的なバブル」論とはなんら矛盾しない。要は、機能するフェーズが異なると思うからだ。「意図的なバブル論」は、スターシステムを活用して素人を吸引するサポーター文化は、集まってきた素人をとりこにし、サポーターにする。そういう流れを作れればいいな、と思っている。



なお、この日記はこちらに続きます。
http://d.hatena.ne.jp/KIND/20060922/p1

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