J1はボランチ不足ではないか? ほか

■J1はボランチ不足ではないか?
⇒色々なチームをざっと見た。「ざっと」なので漏れがある可能性もあるのでスイマセン。

 思うのは、ボランチが足りないってこと。「守備的MF」はたくさんいるが、ゲームを作り、動かし、緩急をつけ、試合の流れを決定づける存在が少ない。G大阪の遠藤、鹿島の小笠原(復帰おめ)ぐらいじゃないだろうか。まあ、彼らにしても中盤の底にいるだけじゃないし、遠藤は今は前目やってるんだっけか。

 いずれにせよ、ボールを動かす能力、個人の守備力、ゴール前に飛び込んでいく得点感覚、運動量etc. 一つ一つのスキルを保持する選手はいる。しかしボランチというのはその名の通り「ハンドル」。チームの中心として、チームの意思を体現し、チームメートから全幅の支持を得て、そのプレーの良し悪しがチームのパフォーマンスに影響するほどの存在じゃないといけない。

 そういう選手は、今のところ多くないと思う。だから代表のボランチは遠藤で固定されている。長谷部にも稲本にも橋本にも青木にもできないプレーが、遠藤にはできるから。

 森崎和幸は、そういう意味で大チャンスで、かつラストチャンスだと思う。彼はボランチなので。そして、年齢的に2014年W杯は難しいので。

 広島にはストヤノフ森崎和幸という「最終ラインのダブル司令塔」がいる。が、森崎和幸ストヤノフにはできない「緩急の“緩”を作る」ことができる。彼がボールをキープし、動かすことで、確実にチームは落ち着きを取り戻し、やるべきことに集中できる。もちろん森崎和幸自身も攻撃に絡むし、ラストパスも出せる。遠藤のようなFKはないので、そこはネックなのだけど。

 まずはチームがしっかり結果を出していき、その中で「好調の広島を指揮しているのは誰か」「森崎和幸だ」という話になればいい。大宮戦しっかり勝とう。


■ミシャをどこで「支持」するか?
 ミシャ批判派と思われている僕ですが、そして実際に批判を大量にものしてきたわけですが、それは一点「守備を整備しなければJ1ではやられる」という根拠からでした。そして横浜FM戦でも実際につまらないミスで2失点を献上しているわけなので、その批判自体は相変わらず正しいと思ってはいます。

 が、彼がこのままガンとしてやり方を変えず、つまり守備の整備もせずセットプレーの守備練習もせず、ひたすら「ボールポゼッションで相手を上回り疲弊させ体力を絞り取り、攻めを構築する体力も精神力もない状態にもっていく」という現在の戦術を貫き、その上でJ1残留を果たしたのなら。
 
 これはもう、もろ手を上げて降参するほかないでしょうな。そりゃ当然だわ。僕のような「普通の感性」の人間では絶対にできない、考えもしないような方法論で、ひょっとすると1994年あるいは2001年後期をしのぐ過去最強チームを、当時より遥かに限られたリソースで作り上げるかもしれないんだから。

■ミシャはトルシエ以上のクレイジー
 だと思う。
 
 トルシエはミシャと同じように徹底したボール支配を望み、旧来型のCBを切り、中田浩二をMFからコンバートさせ森岡、宮本、中沢らと組ませた。フラット3を採用し、ゾーンを圧縮させ中盤をコンパクトにし、3バックの弱点であるワイド裏のケアを容易にさせ、かつ3バックの優位性であるワイドの広がりを使い、そこに旧来型の司令塔(中村俊輔小野伸二本山雅志ら)を置くことでボール支配を徹底させた。そこで求められたのはフラット3の全選手がリベロとしてふるまうことだった。

 しかしトルシエにできなかったのはGKのフィールドプレーヤー化。スウィーパーとして機能させるため、GKはプレーエリアの広い川口が重用されたものの、足元の技術を徹底して鍛えるような練習はおそらく出来なかった。
 
 しかしミシャは、クラブ単位で、しかもJ2という結果としては「ゆるい」場所で思う存分GKの足元を鍛え上げることに成功した。佐藤昭の足元の技術は、1年で見違えるほどに伸びた。
 
 ここで佐藤昭が「機能」すれば、広島のサッカーはおそらくトルシエの代表をしのぐボール支配力を手に入れると思う。そういう意味で佐藤昭には頑張ってほしい。