西河IN、結城OUT?

 どうやら、徳島ヴォルティスにレンタル移籍中だった西河翔吾の復帰交渉が進んでいるようだ。

http://www.chugoku-np.co.jp/Sanfre/Sw200812160164.html
>西河、チーム復帰へ球団と交渉 '08/12/16
> J2徳島に期限付き移籍している広島のDF西河翔吾=写真=がチーム復帰へ向けて球団と交渉していることが15日、分かった。
> 同日の安芸高田市吉田サッカー公園であった練習にも参加した。「(広島の)試合も見ているし、チームの一員となるイメージはわいている」と前向きに話した。

 実際、西河の復帰はまったく予想できないことではなかった。いや、「徳島を離れること」と言ったほうが正確かもしれないが。

■広島は3年以上のレンタル移籍を許容したことがない
(というか、ほとんどのチームがそうだろう)
■西河は25歳で、そろそろ中堅に差し掛かっている
■徳島はここ3年で13位、15位(最下位)、15位(最下位)
■プロ入団同期(西河は大卒だが)の森脇良太佐藤昭大らが
 広島の中核を形成し始めている

 これらの事情をみれば、かつてスタメン出場の経験もある西河が焦りを感じないわけがない。徳島はチームキャプテンを任せるなど西河への信頼が厚いが、一方で10人以上の選手を放出するなど緊縮財政に向かっている。来季の成績も多くは期待できない。西河がJ1に戻って勝負したい、と考えるのは当然の成り行きといえる。

 広島サポとしては、もちろん西河の復帰は歓迎だ。何せ広島修道大学からサンフレッチェ広島に入団した、おそらく初めての選手だからだ。

 1983年7月生まれということは、Jリーグ開幕時には9歳、1994年1stステージ優勝時には10歳。多感な時期にサンフレッチェの成功、失敗、経営危機、主力の大量放出、育成型クラブへの転換、さらにJ2降格(2002年時、西河はビッグアーチのボールボーイをしていた)などを見て育った地元選手である。

 さらに、広島修道大学への波及効果もあるだろう。

 http://d.hatena.ne.jp/KIND/20080314

 こちらのエントリーでも触れたが、広島ビッグアーチ広島修道大学は目と鼻の先の位置関係にある。にも関わらず、あまり修道大生の関心を惹きつけられていない。Jリーグ自体の露出の少なさもあるだろうが、これほどの近距離で、アストラムラインの最寄駅も同じ(「広域公園前駅」)である大学生を取り込めていないのは問題だろう。

 西河が復帰すれば、修道大生へのアピールになる。少なくとも西河の後輩であるサッカー部員は見に行くだろうし、その知人や家族が連れ添って見に行く可能性も高い。興味をもう少し惹起すれば、少なからず修道大からの客引きをもくろむことができるだろう。

 また、大河FCのOBという部分もある。大河FCは、かつては木村和司森島寛晃田坂和昭などのJリーガーを輩出した名門クラブ。西河が戻ってくれば、大河FCの関係者にとってもうれしいニュースだろう。所属するだけ、ベンチ入りするだけ、出場するだけで大小なりとも波及効果が「期待できる」選手は、貴重な存在であることは疑いない。

 ただ、気になるのは表題の件だ。西河のポジションはセンターバック。現在の3バックなら左CBか右CBになり、おそらくは槙野、森脇のサブからスタートする。しかしサブには盛田、結城、ユース出身の横竹、橋内などがいる。

 このうち、レンタル契約なのは結城だけだ。A契約枠の絡みもあり、また年齢的にも結城は29歳とこのポジションでは盛田に次いで年長になる。ここに西河が入れば、

 ----槙野----ストヤノフ----森脇----
(盛田、結城、西河、横竹、橋内)--

 という風になり、明らかにメンツオーバー。左右CBどちらかに限定しても、西河は必ず結城と競合することになる。

 こうなると、結城の完全移籍は西河との契約次第ではないだろうか。西河と結城を比べると、ヘディングの強さ、足元の不器用さは共通しているが(笑)、スピードという面で西河に長がある。さらに、サッカー選手における5歳の差は大きい。槙野のボール扱いが1年で見違えるほどになったように、西河にもまだ伸びる余地はあるだろう。少なくとも、結城にあまり信頼を置いていないペトロビッチがそう判断する可能性は高いのではないだろうか。

 ともあれ、続報を待ちたい。心情としては、結城のキャラクターを考えれば残ってほしいのだが。