楽山が完全移籍&入れ替え戦1st leg雑感

 国内サッカーファンの関心事はJ1/J2入れ替え戦だろうが、自分にとっては当然ながら前者のほうが先に来る。楽山、ようこそ広島へ。

http://www.sanfrecce.co.jp/news/release/?n=2638

 正直なところ、楽山が完全移籍で加入するとは7月の時点でまったく想像していなかった。移籍加入した当初こそリ・ハンジェに刺激を与え、携帯サイトのレポートでも右サイドの争いが活性化したということが書いてあった。その時点までのリ・ハンジェのパフォーマンスには完全に満足してはいなかったので、「これで面白くなるか」と思った。

 ところが、そこから楽山は停滞した。30節仙台戦で途中出場してから35節山形戦まで6試合連続でベンチ入りしたものの、いずれも出場時間はわずか。37節から39節まではベンチからもはずれ、その間にチームは37節愛媛戦でJ1復帰を、38節C大阪戦でJ2優勝を決めた。リ・ハンジェはその間ずっと試合に出続けており、楽山はリ・ハンジェとのポジション争いに敗れた格好だ。

 その頃に楽山がサテライトでプレーする姿を見たが、守備に戻る動きの緩慢さ、足元でボールをほしがるクセなど、運動量の面で問題があった。リ・ハンジェに比べてドリブルでの仕掛け、キックの種類の多さ、中に入ってトップ下として振舞えるプレーの幅の広さがあるものの、広島のサッカーにおいて運動量に乏しい選手の居場所はない。「来年千葉に返却かな」というのが正直な感想だった。

 しかし秋口に入ってから、楽山のプレーは明らかに向上した。天皇杯・川崎戦でも良いパフォーマンスを見せ、43節の草津戦では槙野のPKに繋がるロビングを導き出し、熊本戦ではついに初先発を勝ち取った。課題だった守備時にさぼるクセも改善され、上下動を怠らずに行うようになった。最終節の徳島戦では左サイドで先発し及第点のプレーを見せるなど、ペトロビッチ監督の信頼を勝ち取った。

 運動量が改善されれば、手薄なWBのしかも両サイドをこなせる駒は貴重だ。千葉さんの方でも戦力外通告こそなかったものの、広島の提示額に納得したため完全移籍に至ったのだろう。そういえば草津戦で、楽山についてはこういう風に書いていたのでした。

http://d.hatena.ne.jp/KIND/20081122/P1
>一方、加入当初はまったく期待はずれだったMF楽山は、ここに来てフィットしている感アリアリですね。川崎戦でも良いパフォーマンスを見せましたし、今日もハンジェに変わって途中出場。そして彼の投入以降、明らかに右サイドが活性化された。前半ほとんどクロスもドリブルもなかった右サイドが、後半は攻撃の基点にさえなっていた。槙野のPKを誘発した、佐藤寿人へめがけたバウンドパスを送ったのは楽山です。

>終盤には、下がってきた寿人に預けて左サイドから縦にボールを引き出す動きをし、あわやというシュートも放っている。右サイドだけにとどまらないアタッカーとしての資質を、開花させつつある。90分を通したプレーにはまだ波があるようですが、確実にハンジェとの差を縮めている印象です。完全移籍があるとすれば、むしろ楽山のほうではないか、という気がします。

 その通りになって何より。楽山はJ1における実績はさほどなく、この補強で万全とはいえないですが、ひとまずサイドに関しては昨シーズン並みの水準をキープできそうです。

 そうなると、気になるのが同じく千葉からレンタル移籍中である結城の処遇。楽山よりも結城のほうが先に加入しているわけで、完全移籍交渉をするならもっと早くしていてもおかしくない。チームは9月23日に昇格を決めており、来シーズンに向けて話し合いを持つ機会は十分にあった。にもかかわらず現時点で発表がないのは、千葉からの引き合いが強く金銭面で折り合いがつかないか、あるいは完全移籍で獲得するほどペトロビッチが結城を評価していないからでしょう。実際、結城がいるにもかかわらず森崎和幸がストッパー起用される試合は何試合もあった。広島の求めるストッパー像に彼が合致しないことは明らかだった。個人的には残してほしい選手ですが、どうなるでしょうか。

 入れ替え戦について書くつもりだったが、長くなるので少しだけ。磐田は、駒野をちゃんと使いこなせていない印象。駒野自身のパフォーマンスも全盛期とは程遠いが、サポートの薄さ、チームとしての共通理解の欠如、オフト監督の「追い越すな」というよく分からない指示など、昨年のウチのように「入れ替え戦に出るチーム」らしく不透明さに満ちていた印象です。

 駒野の破壊力を引き出したいなら、3バックはもう少し押し上げないといけないし、トップ下はもう少し斜めに走って相手バックスをつり出さないといけないし、2トップはクロスの動きを多用したり、駒野との呼吸をもう少し整えたりしないと。距離が空いた状態でアーリーを放り込むだけでは、仙台のDF陣も対応できる。