BBCミラー記事より、通訳の重要性について短文

 BBC SPORTSに、千葉を奇跡的な残留へ導いたアレックス・ミラー監督のインタビュー記事が掲載されている。英文は非常に簡単なので、特に翻訳をしたりはしません。

http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/scotland/7767823.stm

 この中でとりわけ印象に残ったのは、この箇所だった。

>Difficult though it may be, he is trying to learn Japanese, but life on and off the field is facilitated with the help of his interpreter Hiro.

>"A couple of the players can speak some English, but it can be difficult trying to get your point across instantly," says Miller.

>At training Hiro faithfully relays Miller's every word to the squad - no matter how trivial.

>But although Hiro's English is excellent, he struggles to find an appropriate Japanese equivalent when the boss asks one player if he's been 'on the razzle-dazzle' last night.

>Despite any language barriers, Miller comes across as the sort of man who would be at ease on any training ground.

 どうも通訳としてベンチ入りしている間瀬秀一氏ではなく、別のHiroという人物がいるようだが、ここではそれが誰かは触れない。

 それよりも重要なのは、通訳の存在。ミラー監督はスコット訛りが激しく、英語が分かる2〜3人の選手にも40〜50%しか聞き取れないほどだったという。そこをHiro氏が丁寧に拾い、どんな些細な言葉も聞き洩らさないように、適切な日本語に訳していったことで選手たちとのコミュニケーションが円滑に図れたのだという。ミラー監督の成功(とはいえないが)の影には、Hiro氏の献身的な働きがあったことは想像に難くない。

 ところで、この記事を読んで改めて気になったのは、ペトロビッチ監督に母国語の通訳がついていないことだ。もちろん杉浦大輔通訳は良い仕事をしていると思うが、やはり母語ではないドイツ語では意志伝達が100%とはいかないだろうし、それが原因でストレスをため込んでいる部分は多々あるのではないかと想像する。

 ペトロビッチ監督はオーストリア国籍を持ち、ドイツ語を操るとはいえ、オリジンはセルビアだ。当然ながらチームもセルビア語の通訳を探したはずだが、簡単には見つからなかったのだろう。これはイビチャ・オシムが日本代表監督を務めていた際、セルビア語を操るプロサッカー経験のある人材がそれこそジェフの間瀬氏しか見つからず、プロサッカー経験という意味では門外漢である千田善http://www.pluto.dti.ne.jp/~z-chida/ に助けを求めた経緯を考えれば分かる。「セルビア語と日本語をネイティブクラスに理解し、かつサッカーの文脈で語ることができる」人材は、日本にはほとんどいないのが実情だ。

 繰り返すが、杉浦大輔通訳の仕事ぶりは優れていると思うし、いまさら「セルビア語の通訳を連れて来なければ」とも思わない。2年半の信頼関係を経ているし、いまさら通訳交代をしてもデメリットのほうが大きいだろう。ただ、ペトロビッチ監督がこの2年半「外国語で喋っていた」という事実は事実として認識する必要がある気がする。

 BBC SPORTSの記事を読んで、そういうことを思った。