vs.草津 雑感

 まあ、色々な部分が見えた試合ではありました。

 http://www.tbs.co.jp/supers/game/20081122_6502.html

 まあどう評価するか微妙な試合ではあります。もちろん結果ではなく、内容において。是非が別れるのは当然でしょう。が、それを分かった上で今回は「是」の部分にスポットを当てたいです。

 というのは、ぶっちゃけ「カズとストヤノフが抜けたら試合内容が悪くなることなんざ当然だろ?」と思うからで。
 いうなれば、カズ+ストヤノフは鹿島における小笠原+岩政、G大阪の遠藤+山口、浦和のポンテ+田中マ、川崎におけるジュニーニョ+中村ケンゴみたいなもんでしょ、重要性として。この2人がいなければ昇格はかなり難しかったと思うし、実際に2人が不在の岐阜戦では相当に苦しい試合を強いられていた。

 同じクオリティの選手を補強するのは相当な資金が必要、という意味でも2人は代替不能な選手に近いわけで。そりゃクオリティ落ちるわな、という感じではあります。J2屈指の組織サッカーをやってくる草津相手なら尚更。

 で、この内容についてはペトロビッチがまったく手を打っていなかったわけではなく、練習では高萩のリベロを試したりもしていたので、その上で「あえてして」の浩司リベロ起用なのでしょう。

 前述したようにカズとストヤノフは代替不能であり、2人同時に不在というのはレアケース。さらに、ポゼッションを安定させる意味では浩司リベロというか「アンカー」はそれなりに意図を見出せないではない。内容は「ああ」なりましたが、それは浩司の守備能力では当然のように予測できたこと。

 つまり、守備のやられっぷりに関して、浩司マターの部分について僕は不問にしたい。どうせJ1でやるわけがない(通用しないし、2人同時不在というのも極めてレア)ので。

 僕はそれより、浩司をリベロ起用してまで機能させようとした「ポゼッション」が、なぜ前半うまく機能しなかったのか、という部分のほうが気になりますね。で、その原因の多くは高柳にあると思っています。

 もちろんDFラインの不安定さに引きずられた部分はあろうとはいえ。ワンタッチで裁くべきでない部分で裁いたり、リスクヘッジもできないままパスアンドゴーで「使われようと」するなど、中盤の底にも関わらずトップ下のようなプレーをした部分が多すぎた。「落ち着きどころ」としてまったく不適格で、相変わらず彼のポジションは「青山のサブ」しかないのか、という感想を覚えました。

 前半で一誠を落とすペトロビッチの判断は正しかったですが、そこで浩司をボランチにスライドさせたのは「守備の安定」ではなく「ポゼッションの安定」を見込んでのこと。つまりこの試合で不適格とされたのは「浩司のリベロ」という当たり前のことではなく「一誠のボランチ」だと思っているのです。

 リーグ戦は残り2試合しかなく、岡本の出場機会もありえる中で、一誠にとって「ボランチで先発出場」というのは今シーズンのラストチャンスに近かった。この機会を生かせなかった一誠の来シーズンは、かなり厳しいものになるのでは、という気がします。

 一誠のような「査定組」でいうと、レンタル組の結城と楽山の処遇も気になるところ。結城の評価は、「ストッパー」でありリベロではない。ストッパーとして「槙野&森脇>盛田>結城」という位置づけに恐らくなっており、レンタル組という境遇を考えれば一誠以上に厳しい立場にあった。一誠のボランチ不合格による浩司のポジション繰り上がりによって棚ボタ的に出場しましたが、そのプレーぶりは「広島のDF」という意味ではやはり厳しく。

 結城のストッパーとしての能力は、スピード不足の面を除けば低くない。ですが、この試合でも「結城から始まる攻撃」というのは見られなかった。ペトロビッチがDFに求めているのは、森脇や槙野やストヤノフが“頻繁に”行っているような、シュートの3歩手前、ないしは直接的なくさびになるようなパス能力、あるいはドリブルやシュートやアシストまで絡む「ビルドアップにとどまらないアタッカーとしての攻撃力」。邪道とは思いますが、しかしそうした要求をする監督である以上、結城の位置づけは相変わらず3番手ないし4番手にとどまるでしょう。来期の処遇が怪しい選手ではあります。

 一方、加入当初はまったく期待はずれだったMF楽山は、ここに来てフィットしている感アリアリですね。川崎戦でも良いパフォーマンスを見せましたし、今日もハンジェに変わって途中出場。そして彼の投入以降、明らかに右サイドが活性化された。前半ほとんどクロスもドリブルもなかった右サイドが、後半は攻撃の基点にさえなっていた。槙野のPKを誘発した、佐藤寿人へめがけたバウンドパスを送ったのは楽山です。

 終盤には、下がってきた寿人に預けて左サイドから縦にボールを引き出す動きをし、あわやというシュートも放っている。右サイドだけにとどまらないアタッカーとしての資質を、開花させつつある。90分を通したプレーにはまだ波があるようですが、確実にハンジェとの差を縮めている印象です。完全移籍があるとすれば、むしろ楽山のほうではないか、という気がします。

 こんなところでしょうかね。あ、前半のガタガタの時間帯、柏木が中盤の底まで顔を出してよくボールに触り、パスアンドゴーを繰り返してリズムを作っていました。あの気の利いたボールタッチがなかったら、広島は前半でもう少し失点していたかもしれない。前半の隠れたMVPは柏木だと思ってます。ああいうプレーができるようになったんだなー。