動画と画像でみる、広島守備のヤバさ【その2】---そもそもなぜJ2降格したのか?(5)

 しつこいですが(笑)もう少し広島守備について。さっきの文章では、「どうしたらいいのか」という部分がやや不足していたかなと思います。引き続き、低画質キャプチャー漫談にお付き合いください(笑)。

 これは、前節セレッソ戦における香川のシュートシーンです。失点シーンではなくとも、完全に1点モノでした。動画では、1:14からです。

http://jp.youtube.com/watch?v=ii5rbLtykOI

 小松がボール(青丸)を落とし、それをカイオと浩司が競る。

 で、白で塗りつぶした個所に注目。何このスペース??? もちろん、ここは最終ラインです。抜け出されたら1点なんで、スペースケアや人へのケアは十分に払われねばならない。サイドならともかく、センターサークルがあるように「中央」にこんなスペースができるなんてありえない。統率されたDFラインなら起こりえない事態が起こっている。

 で、当然のようにカイオにDFラインの裏に落とされて・・・

 はい、完全に裏を取られてます。で、ここで初めて左にDFがいることが分かる(白いユニフォームの赤丸)。結局、このままフリーで持ち込まれ、シュートを打たれます。GKの正面を突いたからいいものの、完全に1点もの。

 まず、動画で見ると恐らく青山が最初は香川についていました。しかし、ボールが高く上がったことで一瞬集中を切らし、香川を前に行かせてしまう。まずここがミスでした。

 次に、3バックのポジショニング。見切れているので分かりませんが、左CB(恐らく槙野)はこのシーンで中央に絞らず、サイドに開いていた。攻撃参加から戻り遅れていたのか、単にポジショニングミスなのか。いずれにせよ、槙野がスペースをカバーすれば、香川に裏を取られることはなかったでしょう。どうということはないシーンだったはずです。

 さらに、最初のシーンで小松とハイボールを競っているのはリベロストヤノフでした。ハイボールに強い結城ではなかった。これは小松がストヤノフに付いたのかもしれませんが、いずれにせよ結城はこの時点で仕事がなかった。

 本来の役割分担は、ストッパーの結城が競ってリベロストヤノフがこぼれ球や裏へのケアを行うというものになっていたはず。この局面でも、そうした役割分担が適切だったと思うし、そうなっていれば競り負けなかったかもしれないし、こぼれを拾えたかもしれない。まあタラレバの仮定の話ではありますが、要は何が言いたいかというと

広島の守備は選手任せ

 ってことなんですよね。守備に明確な約束事がなく、ラインを作らず、リベロとストッパーの役割分担も曖昧で、マンツーマンなのかゾーンディフェンスなのかもハッキリせず、オフサイドルールも活用できず、従って「相手のやり方に人が付いていく」という極めて受動的な守備になる。言いかえれば「人海戦術」になる。

 オフサイドラインをうまく使えば、ピッチの可動領域を狭めることができます。要は「動かなくてもボールが手に入る」状況を増やすわけなので、つまり選手の運動量を軽減させることに繋がります。さらに「下げ止まる場所」が明確なので、中盤より前の選手は「どこでボールを奪いに行くのか」がよりハッキリとします。そうすることで守備は受け身からより能動的になり、「相手のミス待ち」から「奪い取る」守備になることが可能になります。

 強いチームは概してそうなっていると思います。鹿島にせよ川崎にせよ大分にせよ名古屋にせよ浦和にせよ、やり方は違えど「ベタ引き」のようなことにはなっていない。「ここからは引かない」というラインを明確にすることで、GKとDFの役割分担も明確になり、GKがより活動しやすくなります。リスクが増える部分もありますが、現状で佐藤昭とDFが重なりかけたり、横浜FC戦の失点のようにDFが際限なく下がることでGKの飛び出るスペースを消している部分もある。どちらがリスキーかといえば、現状の守備のほうがリスキーだと思います。

 kasaさん曰く、

http://hpcgi2.nifty.com/VEN07574/yybbsa.cgi
はっきり覚えているわけではないが、相手が遅攻になって失点したシーンは、そんなに多くはなかったと思う。失点の多くは、DFとボランチを中心にしたポゼッションの中で起きたミスから速攻を食らい、守備の態勢が不十分な中で起きていたと思う。よって『ボールの失い方が悪い』というのが一番の要因であり、もっと高い位置までボールを運べる『ポゼッションの強化』が進めば、あそこまでカウンターを食らわないとも考えられる。

よって、現時点の到達点を考えると、昨シーズンの『戸田、カズ、盛田、青山』の『ポゼッション軸』から、『ストヤノフ、槙野、盛田、カズ、青山』の『ポゼッション軸』へ変化しており、ワンボランチからダブルボランチへシステム変更したこともあって、その安定感は増していると考えられる。そのため、昨シーズンのような『低い位置でのポゼッションでボールを失うカウンターを食らう』シーンは、確実に減ると予想できる。

さらに、ストヤノフ、槙野、盛田、あるいは結城の3バックは、昨シーズンの3バックより高さもあり、さらに元来DFの選手のため『受け』にも強い。簡単にボールを放り込まれて失点してしまうシーンは減るだろうと思われる。

 という風にお書きなのですが、これらのシーンを見る限りポゼッション力を高めようが、DFに本職を置こうが、「守備戦術がない」ということはどうにもカバーできないような気もします。J2の甲府セレッソにすら危なっかしいシーンを連発し、横浜FCには研究されて15本もシュートを打たれているので、J1ではもっともっとやられてしまうだろう、と思うのは自然な成り行きかと。

 僕が「スーパーな存在を取ってこないとムリ」だと思うのは、そういうところですね。「組織作れ→ミシャはやらん⇒じゃあ解任しろ→ムリ→じゃあスーパーな選手取ってこい」という流れ。