戸田が千葉へレンタル移籍

 規定路線とはいえ、寂しいものがある。

http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp0-20080604-367979.html
千葉が元日本代表戸田をレンタルで獲得

 千葉がJ2広島の元日本代表DF戸田和幸(30)を、期限付き移籍で獲得することが3日、分かった。すでにクラブ間合意に達しており、4日にも発表される。千葉はリバプール出身のミラー監督就任を受け、中盤がフラットなイングランド式4−4−2システムに合う、経験豊富なセンターバックをリストアップ。その中から、3バックの広島で今季7分間出場にとどまっていた、戸田獲得の交渉を進めていた。

 戸田は日本代表として、02年W杯に出場。激しい守備でチームの16強進出に貢献し、陰のMVPとも言われた。その後はトットナムでのプレーも経験。プレミア路線の千葉には、うってつけの補強といえる。千葉からは代わりにDF結城が広島へレンタル移籍する。

 [2008年6月4日7時12分 紙面から]

 ただ、感情論的に「寂しい」とはいえ、これは広島・千葉・戸田本人3者の利害がピッタリ一致していることであろうから、どちらかといえば“祝福して送り出す”ほうがよいのかも、とも思う。
 まず広島。ご存知のとおりストッパーの層が極めて薄い。戸田は記事上で“経験豊富なセンターバック”という文脈で語られているが、3バックにおける役割はリベロであってストッパーではない(リベロの層も薄いが)。森脇、盛田、槙野の3人しかプレーできないストッパーに、ずっとJ1でプレーしてきた結城を獲得するのは、悪い補強ではないだろう。

 千葉については最近の試合を見ていないので、よく分からない。が、チームが軌道に乗り始めているので、補強選手はあくまでバックアッパーとして扱うのかもしれない。「少なくとも選手層が厚くなる」という文脈において、千葉にもメリットはちゃんとある。

 そして戸田本人について。今シーズンたった7分しかプレーしていず、彼も自身のサイトで「このポジション(注:リベロ)で終わるつもりはない」と発言しているように、リベロでしか出場枠のない広島から移籍することは規定路線と見られていた。

 出場可能性の低い31歳のベテランが移籍を志願し、千葉がそこそこの条件提示(若いCBとのトレード)をしたなら、移籍にゴーサインを出すのは現状を勘案すれば“アリ”だと思っている。口うるさいベテランがいなくなるのは問題なのだが、実質的に戦力になっていない以上、レンタル移籍は一つの落としどころだろう。

 戸田の前途に幸多からんことを。そして、結城耕造選手、ようこそ広島へ。