Perfumeはロックである

 単なるメモがき。
 
 音楽好きが次々と陥落し、陥落しないまでも日記などで言及し(これは陥落の一歩手前)、あるいはものすごい勢いで一般層に浸透していることに嫉妬して批判めいたことを書いてしまう。

 明らかにこれは、アイドルの動きじゃないよねwww なんか、彗星のごとくシーンに登場したロックバンド・パンクバンドのよーなムーブメントになってるなあ、と思っております。

 で、なんでこんなに議論を巻き起こしているかと言うと、Perfumeは「存在がロックだから」じゃないかと思っているのです。日本の状況だけ考えても、僕はこんな感じに思っています。

■J-POPシーンがまったく面白くない時代
⇒歌い上げ・エセラップ・演歌・ジャニタレのどれかにしか該当しない粗製乱造モノばっかりで、ポップスに失望する人が増えていた。
 
■テクノが流行らなくなって久しい時代
⇒ピコピコ音をやるミュージシャンはいたけど、こんなに爆発的に流行したのはYMO以来なんでしょうなあ。
 
■アイドルがキモヲタの所有物になった時代
⇒「アイドルが好き」って堂々と言えなくなったのは、いつのことからなんだろう。
 
■一発芸ばかりの芸人が幅を利かす時代
⇒視聴者が刹那的な笑いを求め、制作者がそれに同調した結果の共犯関係かと。
 
■事務所の倍プッシュ&売れなければ放置の時代
⇒「いつ捨てられるんだろう?」と心配になるような、そして実際に捨てられるような、消耗品のごとき扱いを受けるアーティストやタレント、芸人の多さ。
 
■誰もが自分の領分を守り、一般ウケする何かを提示しない時代
⇒ヲタクはジャンル分けして安心するか、批判するだけ。「じゃあ、オレらライト層は何を聞けばいいの?」という切実な問いかけに、誰もが聞かないフリをしていた。


 で、Perfumeがいまんとこ何を成し遂げたかというと、

■いまのJ-POPシーンにない音を提示した
■国内のテクノ復権を果たした
■アイドルなのに大流行しはじめた
■しっかりとした話芸で一般ウケした
■事務所のプッシュなしでブレークした
(注:今年に入ってからの大量露出は別)
■一般ウケする確固たる「モノ」を提示した
■性を売り物にしないでブレークした
広島弁のよさを伝えた(笑)


 さらに、属性としては

■パフォーマンスの真価がライブにあること
サマソニカウントダウンジャパン出演や、ZeppTOKYOやSHIBUYA-AXなどライブハウスを軒並みソールドアウトに。「アイドルのコンサート」にはありえない縦ノリ&モッシュの嵐を生み出し、オーディエンスのアドレナリンをドクドクに流出させる。さらにトロットロの広島弁MCでアルファ波を出させる。コケティッシュな踊りで幻惑させておいて、『Perfumeの掟』というダンスコーナーでアイドルをメタ認知したりもする。
 
■話芸の真価がラジオにあること
⇒ライブのMCでも発揮される、無軌道に暴走していくようでちゃんと予定調和に収まる話芸。「アイドルなのに」という世間のフィルターが、その面白さを余計に際立たせる。いまんとこ「天然」と思われてるが、その時点で勝利。共演したお笑い芸人が次々とファンになっていき、特に南海キャンディーズ山ちゃんはあ〜ちゃんにベタボレ。


 ってところではないでしょうか。
 
 こうしてみると、Perfumeはアイドルでありながら一流のラジオパーソナリティであり、ロックであり、パンクであり、演歌であり、オシャレでありながらダサくもあり、際立った美人じゃないのに皆がメロメロになり、水着を着ないのにアイドルであり、テクノでもハウスでもエレクトロニカでもありながらその全部に該当しない“ポップス”であり、つまるところそうしたカテゴライズをまとめてゴミ箱に叩き込む強力無比・現状無敵の存在。つまり「真のアイドル」ってことなんでしょう。
 
 そしてアイドルというのは、すべての人に平等。誰もに均等に愛を降り注ぐ存在がアイドル。オールジャンル制覇、あるいはジャンルの垣根を軽々と破壊していくのは当然のこと。そして、「アイドル」ですら個別の一ジャンルを指すような寂しい時代において、Perfumeの存在はまさにロックです。
 
 ということで、クイックジャパン74号の『アイドルの意味を回復する3人』という特集は、実に慧眼だったなと思う次第。生まれてたぶん初めて、アイドルのよさを味わってます。アイドルっていいよ、ホントに。