読者のことなんて考えるな

 正確には「不特定多数のことなんて」かな。

http://d.hatena.ne.jp/guri_2/20080309/1205060174
「『読み手のことを考えちゃう』なんて自意識過剰だぜ?」と言えばそうだと思うし、
「書き手が読者を考えているほど、読み手は書き手を考えていない」という話も、そうだと思います。
「たぶん、あなたのブログを気に入って読みに来ているんだろうから、書きたいことを書けばいいと思う」
というのも、その通りだよなと思います。

でも、毎日2000人の方に読んでもらえてると、さすがに考えてしまうんですよ。
もちろん、2000人全員がめちゃめちゃ真剣に読んでいるわけじゃなく、最初の1行眺めただけで帰っている人もいるでしょうが、
こうなってくると、読み手のことを全く考えずに書くのは、もう、ちょっと無理です。

 お気持ちは分かります。が、そりゃムリがあります。
 自分の話をすると。貴ブログは2,000人がご覧になっているそうだけど、僕のブログも1エントリーあたりのヒット数は恐らく同じぐらいです。その中には10代〜40代、ひょっとしたら50代の方もいるかもしれない。

 当然、その中には文字の上っ面しか読めないでウンコのようなブクマコメントつけちゃう人から、「なぜこの言葉を選んだのか」という視点で意図を正確に読み込んでくる人もいるでしょう。パッと思いつくだけでも性別、年齢層、読解力、すでに3つもの階層がある。10代独身女性、20代既婚男性、40代独身女性の3者が同様に僕のブログを読んでいるとして、彼ら彼女らの考えることがまったく同じな「わけがない」のです。

 一律に「分かりやすい」文章なんて書こうとしたら、ある層は全部ひらがなで書かないと分からないかもしれない。しかし、普通の読解力を持つ人なら、全部ひらがなで書けば確実に「読みにくい」として敬遠するでしょう。

 もっと書くと、例えば僕は先日「久保だよ、久保」というエントリーを上げましたが、あのエントリーだって「久保竜彦ファン」には喜んでもらえるかもしれない。しかし2得点を挙げた高萩洋次郎なんて名前すら挙がっていないし、また愛媛FC戦のことはこれ以上書くつもりはない。だから僕のブログを読んでいる高萩洋次郎ファンは、ひょっとしたら「洋次郎のことを書いてない! ひどい!」って思うかもしれない。

 が、いちいちそんなこと気にしてちゃ、文章なんて書けないわけです。仮にそういう人がいるとしたら、うだうだ説明する代わりに「別のブログ読めば?」あるいは「自分でブログ書けば?」と薦めるのが親切でしょう。字面は冷たく感じますが、「あなたのオーダーメイドなブログは(作らない限り)存在しないよ」という事実を教えてあげるほうが、お互いにとって有益といえるわけです。

http://d.hatena.ne.jp/guri_2/20080309/1205060174
人によって、状況によって、言えることは違ってきます。

ところがブログなどWeb上での発言は、誰に対しても、どんな状況の人にも同じように届いてしまいます。

 その通り。ただ一つお忘れなのは、読者はここをクリックして訪れているということ。あくまで主体的な意志によって、読者はここを選んでいる。「傷つける意図のない文章」を読んでいちいち傷ついてる人は、Webがプルメディアだってことを忘れてるんです。「あなたのブログで傷ついた」という人に、僕はこういいたい。

 「じゃあ、ネットなんて止めたら?」

 所詮誰もが他人です。話せば分かる、なんてウソ。言葉を吟味して最善を尽くしたところで、分からない人は分からない。それどころか、僕らはたった1人のひとに思いを伝えるだけですごく難儀しているわけです。

 最大公約数なんて考えるなよ。伝えたい人に伝われば、それでいいじゃないか。

 自戒を込めて、そう思います。