結論、ポジティブ。(2008年J2第1節ザスパ草津戦)

 まあ色々考えると、ケガ人が多い中でもきっちり勝てたこと、J2のレベルがある程度把握できたこと、プラス多くの課題が出たことは、今後に生かせればという条件ではポジティブ要因なのかなと。

■収穫
・ケガ人多数にも関わらず、結果が出たこと
・J2レベルがある程度把握できたこと
・平繁がキレキレであること
・青山が復調したこと

■課題
・DFからの縦パスの精度
・中盤の仕掛け不足
・DFの組織作り
・GK木寺の足元(緊急性高)
・森脇の守備の軽さ

■収穫
 まずは結果が出たこと。森恕W和幸、柏木が欠場、ハンジェは出場停止、盛田は万全でなく、久保・ユキッチもまだコンディションが上がっていない。チームとしての状態は7割前後といったところ。幾らゼロックスに勝ったとはいえ、結果が積み重なるリーグ戦ではまたプレッシャーが違う。今日勝てなければ、それなりに苦しむ可能性もあった。そういう意味で、まずはスッキリ勝てたことが大きい。「よし、このまま行くぞ」というテンションに持っていければ、若い選手が多いチームはどんどんノッていけるはず。

 次に、J2のレベルがある程度把握できたこと。「ここは大丈夫」「これはやられる」というのが、見ている側にもある程度分かった。

 例えば「ここは大丈夫」というのは、ミドルレンジ。J2には精度の高いミドルシューターがそれほどいない。セレッソの香川とか柿谷とかは警戒すべきかもだけど、それぐらいかも。だから、クリアのこぼれを直接叩き込まれる心配はそれほどない。そこがある程度余裕を持てる。

 逆に「これはやられる」と思ったのは、不用意なパスミス。洋次郎のバックパスがかっさらわれそうになったり、バックラインでボール処理にもたついたらスグにプレスが来る。このあたりは、2003年に比べるとレベルアップしているように感じる。J1経験者が格段に多いことも一要因なのだろう。

 ただ、そうは言ってもJ1のほうがレベルは高いことは間違いない。大宮vs.新潟を続けて観たけど、J1はやはりプレッシャーの早さ、当たりの厳しさ、仕掛けの回数、エリア内でのプレーの質、こぼれ球に対するアクションなどなど、多岐にわたって「怖さ」が違う。「J2レベルに慣れてはダメ」というのは、例えばこういう部分を言うのだろう。

 サンフレの選手を見ると、やはり平繁のプレーは出色だった。積極的なスペースへの飛び出し、下がってきてポストになり、はたいて飛び出すなどプレーの連続性があり、加えて前を向いた時に躊躇なく勝負に行き、かなりの確率で勝っていた。19歳にして、「J2のDFなら勝てる」と踏んでいるように見えた。そのふてぶてしさは、買い。さっさと得点も挙げたし、今シーズンのブレークは間違いないように見える。久保、ユキッチがコンディションを上げても、スタメンは平繁のものかもしれない。それほど充実している。

 青山の復調も喜ばしい。今日は守備に追われるシーンも多かったが、1点目のように長い距離を走れるようになったこと、2点目の基点となった必殺のロングパスなど「らしさ」を随所に発揮した。キャンプを棒に振り、ようやく合流したばかりだったはずだが、それを考えると合格に近い出来だったと思う。

■課題
 まあ色々ありますわなー。まずは縦パスの精度。テレビで見える範囲内でも、前の動きに対してパスのタイミング、質ともにいまいちだった。槙野にしても盛田にしても、「もう少しなんとかならんのか」というタイミングだったり角度だったりスピンのかけ方だったり。その点で安定していたのはストヤノフだけだった。

 もちろん、それは中盤がかなり殺されていた影響でもある。この試合、相手がある程度引いてゾーンを敷いたことで、青山、浩司、洋次郎へのパスコースが消され、なかなか有効なボールが入らなかった。また、ボールが入ったときのプレーも消極的。中央への強引な仕掛け、あるいは2つ飛ばしてシュートまで持って行く積極性が足りなかった。特に洋次郎は、攻守に渡って「良いところなし」な印象。守備ではシャツを引っ張られただけで体がズレるし、攻撃でもFWと有機的な関係を作れなかった。

 DFの組織作りも問題。前半、島田からのダイレクトパスで高田に抜け出されシュートまで持ち込まれたシーンで、完全にビビッてラインを上げられなくなった。結果、ラインが下がりすぎ、中盤でプレスが効かず押し込まれる時間帯もあった。J1ならともかく、J2でもこういう風になるというのは、明らかに組織づくりのミス。「ここで奪う」「ここまで下がる」「ここからは下がらない」という意思統一が見えなかった。これは昨シーズンからの課題なのだが、監督も選手もさほど変わっていないのに、いやだからこそか、改善されていない。そしてオレの見立てでは、ミシャがここを解決することは不可能。いずれアキレス腱になる気がする。

 もっとも、GKほど早急な課題でもない。GK木寺、やばすぎます。ゼロックスで露呈したDFとの連携の乏しさもそうだけど、今日改めて足元がものすごくやばいことが確認できた。明らかに、ボールが来ることを怖がっている。ボールを落ち着かせるなんて望外。ならば全部ブチ蹴っておけばいいものを、そうならないのは中途半端に繋ごうという気があるからではないか。いずれにしても木寺は、現在のサッカーにまったく合っていないGK。佐藤昭大が足元使えるかどうかは分からないけど、このままでは木寺の足元が原因で失点する公算が非常に大きい。なんとかしろ。

 あとは森脇の守備の軽さか。目立たないけど、突破されすぎだろ。あまりに簡単に縦に行かれてしまっている。攻撃はともかく、守備の1対1が軽すぎる。これでDF起用ってのは、どういう頭してんだミシャは。

 などなど、まあ短期的に解決できるかどうかはともかくとして、第一戦にして収穫課題合い半ばする戦いができたこと、きっちり結果を手にしたことは、ポジティブに「なりうる」のではないかというところ。走りながら修正していってくれることを望みます。