トルコキャンプは必要か?

 別に「必要ない」とは思ってない。思ってないんだが、「必要だ」という判断の根拠を知りたい。それだけ。
 要は、「効果測定はちゃんとなされたのか?」ということ。費用に見合った効果は出たのか、その検証を経て再度のトルコキャンプインなのか、そこら辺が曖昧に見える。

 費用の問題。キャンプに関して、一様に費用対効果を求めるべきではないかもしれない。シーズンインを控え、選手たちのコンディションはまちまち。それらをうまくコントロールし、開幕に向けて(ウチの場合はゼロックスだが)照準を合わせていくためには、非日常的な場所のほうがいいかもしれない。

 しかし、今年はJ2である。Jリーグからの分配金は減り、入場料収入やグッズ販売などの収入も減る。逆に交通費・宿泊費などの固定費は上昇する。経費削減は避けられないだろう。そうした観点からすれば、トルコキャンプはどうなのか? と思う。まあ、ミシャの顔利きで施設使用料やホテル宿泊代が安くあがるのかもしれないし、その結果選手・スタッフの航空運賃を加味しても国内キャンプより安く上がる、というカラクリがあるのかもしれない。

 だけども、効果の問題は残る。昨年のトルコキャンプでは、「シーズンを乗り切る体力をつける」ために何日間も連続して練習試合をこなした。グラーツオーストリア)やリテックス(ブルガリア)など海外中堅クラブとの試合もあったし、そこである程度の結果を残した。「海外の中堅クラブと互角に戦える」というイメージを持てたこと自体は、有意義だったのかもしれない。

 しかしその結果どうだったかというと、J2落ちである。「シーズンを乗り切る体力をつける」はずが、シーズン途中で明らかに息切れしていたのはなぜか。Jチームと全く戦い方が異なるチーム相手の試合は、シミュレーションとして有意義だったのか。レベルの高いサッカーを追求するあまり、運用に柔軟さが欠けていなかったか。そうした問題点がちゃんとクリアになっているのか、疑問が残る。

 クラブは昨年、ミシャからの要望(補強について)に十分に応えたとは言い難く、そういった意味で「キャンプぐらいはミシャの要望に応えよう」と思っているのかもしれない。しかし実際に効果測定と検証がないならば、つまりPDCAサイクルに則った末の決定でないならば、このトルコキャンプがJ2残留の遠因となる可能性だって否定できないわけだ。実際、昨年のキャンプで得た収穫は、J2降格阻止になんら役に立たなかったのだから。

 今年のクラブのスローガンは「ALL FOR J1」だという。「すべてはJ1のために」と言うからには、徹底して欲しい。すべてを「J1昇格につながるのか、否か」という視点から検証すること。曖昧なことには、「なぜ」を繰り返すこと。「なぜそれをやるのか」「なぜそれをやらないのか」「なぜそれをやったのか、その結果どうだったのか」そういう当たり前のことを、徹底的にやってほしいのである。

 その上でのトルコキャンプなら、つまり昨年抽出したはずの課題を消化できる場ならば、諸手を挙げて歓迎しようと思う。