ハンブンサテライツよくやったぞ


 キムチ鍋をつつきながら、G大阪戦の録画放送を観た。2時間の尺に収めるようブツぎりに編集されていたため、試合評は書けない。それにしても、ほぼフルメンバーのG大阪相手によくやったと思う。特に後半ロスタイムの同点劇は思わず腹式呼吸で叫んでしまった。これだけ心が揺さぶられた試合も久しぶりだ。

http://www.jsgoal.jp/news/00042000/00042000.html
>●第86回天皇杯5回戦
>12/9(土)13:00/3,625人/神戸ユ
G大阪 4-2 広島
>得点者:64'佐藤寿人(広島)69'遠藤 保仁(G大阪)77' マグノ アウベス(G大阪)89'森崎 浩司(広島)110'寺田 紳一(G大阪)112' マグノ アウベス(G大阪

 敗れたとはいえ、個人的には最高の形で今シーズンの締めくくりができたと思う。最高の相手と、最悪の状態でぶつかり、最大限の力を出して最後まで食い下がった。完全燃焼で終えることができた。来シーズンにつながる「負け」だったと思う。


 鍋を突つきながら観ていたので確たることは言えないが、以下簡単に目に付いた選手を。


 上野優作。足元の技術は元々期待していなかった。「とにかく動け、とにかく身体を張れ、とにかく寿人をフリーにしろ」と思っていた。映像を見る限り、彼ができる最大限のことを表現しようとしていたし、実際にボールが入ったときは味方の位置をしっかり把握していて、基点となる落としを何本も供給できていた。


 すでに所属元の新潟からは戦力外とされた。今回のプレーで、彼の契約に影響が出るかは分からない。しかし、少なくとも彼は置かれた立場を認識し、危機感を持ってプレーしていたと思う。そういうプレーをずっと続けてくれれば、ウェズレイの代役として「ある程度計算が立つ」存在になりうるし、補強の必要性も少なくなる。


 李漢宰。僕は、ハンジェのクロスは駒野のそれよりも「危険」なときがあると思っている。駒野はキックを蹴り分けられる技術がある。その分考える時間があり、ダイレクトで欲しいタイミングでボールを止めてしまい、チャンスをフイにすることがある。しかしハンジェにそれはない。「自分には技術がない」と認識している分、ダイレクトで折り返すことが多い。それがミスに繋がることも多いが、しっかりと蹴ったときはGKとDFの間にシュート性のボール、つまり「誰かが触れば1点」のボールを入れてくる。


 先制点となった佐藤寿人へのクロスは、「要求されたところによく蹴った」と褒めるべきだろう。だがそれよりも、彼が試合を通じて「怖い」クロスを何本も蹴ったことを評価したい。ハンジェは、「クロスはラストパスだ」ということを認識している。クロスはラストパス。誰が触っても1点。相手DFにぶつけても、味方のカカトにあたっても、GKがパンチングミスしても、1点は1点。駒野に足りない部分は、そういう思い切りだと思う。


 森崎浩司。ビルドアップでは、正確なショートパスを繋いでいた。相手を引き付けていなし、ワイドに展開することもできていた。それは期待通り。期待以上だったのは、ディフェンス。特に「攻」に転じるための守備。例えばブロックを作った状態での、クサビへのアタックなどだ。浩司はきっちりと何度もアプローチし、実際にマグノアウベスから何度もボールを奪い、カウンターの基点となっていた。試合後に「ワンボランチは楽しかった」と語っていたが、この試合で何かを掴んだのかもしれない。


 森崎和幸。スマン、あなたの「読み」をあなどっていた。CBの経験を積んだことで、「危険なボール」へのアラートがどんどん上がっている。何度かインターセプトもあったし、クロスに対してしっかりとポジションも取れていた。戸田和幸のような統率は望めないし、実際にラインが下がり気味の感もあった。だが彼も、現状でできる最大限をやったと思う。


 他の選手については、またビデオを見返したときにでも言及したい。それから、G大阪の遠藤保仁について。ボールの質がやはり別格だ。単なるインサイドキックでも、味方のスピードを殺さず利き足で扱いやすい「優しい」パスを難なく出せる。だから加地も生きるし、マグノアウベスのスピードも生きる。そしてクロス。さほどスピードはないのに、必ず「ひと山」越えて絶妙のポイントに落ちる。


 1点目のPKについては、判定はともかく見事なキックだった。逆転ゴールとなったマグノアウベスの得点は、遠藤のキックを信じきった走り込みが生んだものだった。勝ち越し点となる3点目では、バイタルエリアに侵入し4、5人の選手の意識を引き付けながら、逆サイドでフリーになった寺田紳一を冷静に観ていた。そして4点目のマグノアウベスへのパスは、まさに「その位置」に「落とす」ようなスルーパス。GK下田崇の飛び出しを無力化させたのは、マグノのスピード以上に遠藤のお膳立てがパーフェクトだったから。遠藤、やはり恐るべき選手。FWのレベルが上がるほど、彼の良さは生きると思う。批判は多くともオシムが代表から外さない理由は、良く分かる。



 入れ替え戦。正直、福岡はシーズン通して何もかもかみ合わなかったのだと思う。試合そのものはどちらも先制点を与えないサッカーをしていたわけで、ああいったアクシデンタルな得点が生まれたのは必然だった。神戸がとっても福岡がとってもおかしくなかった先制点。それが神戸に入ったことを論理的に説明することは難しい。


 ただ、シーズンを通した「総決算」としてこの入れ替え戦を見た場合、神戸のほうが「気持ち」で上回ったのかな、と思う。ドイツW杯をフイにしてまでチームに残留した三浦淳宏の涙は、彼が、そして彼らがどれほど「J1昇格」を渇望していたかの象徴だった。


 これ以上のコメントは差し控えたい。神戸、おめでとう。福岡、来年頑張れよ。

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