「天皇杯は勝ち進むな」


 正確には、「U-21代表を休ませろ」ということだが。来シーズンに向けて、現U-21代表(来季からはU-22選抜⇒U-22代表となる)には十分なオフを取る必要がある。天皇杯の出場など、もってのほかである。


 それは、彼らが12月〜来年2月にかけてどれほどの過密日程を強いられるかを考えれば分かることだ。

http://hochi.yomiuri.co.jp/soccer/japan/news/20061207-OHT1T00071.htm
>「来年は気づいたら白髪になってるか、頭がはげてるかどっちかだよ(笑い)」と6日の試合前に明かした指揮官。もちろん来年のメーンは2月28日から始まる北京五輪アジア予選。だが、フル代表ももちろん投げ出すわけにはいかない。
>本格的には1月のU―22選抜が出場するカタール国際大会と、同時期に行われる中東のガルフ杯視察から新年が始まる。そして2月の予選直前合宿に向け、選手の状態把握にJクラブの練習、キャンプにも足を運ぶ。
>「今度招集するとき(2月の合宿)にはJ(の試合)はやってない。練習見に行ったり、これからハードだよ」。さらに「この世代はいろんなところからわき出てくる水をうまくすくい上げなきゃいけない」と綿密な視察を宣言した。


 この記事では反町監督の「ハードスケジュール」のみを書いているが、本来問題にすべきは参加する選手のコンディショニングではなかろうか。


 仮に広島が天皇杯を勝ち進み、2007年1月1日に行われる決勝に進出したとする。そうなればアジア大会に参加した青山敏弘前田俊介佐藤昭大の3選手は、せいぜい1週間程度のオフしか取れない。カタール国際大会の日程は現時点で分からないが、前年度は1月14日が第1戦だった。この大会だけでなく、2月にはU-22代表の合宿があり、2月28日には北京五輪アジア予選が始まる。11月下旬から12月上旬までハードな日程をこなした彼らは、休む間もなく天皇杯を戦い、さらに1週間程度でコンディション作りを強いられることになる。


 オフにしっかり休養を取らないことは、当然ながらシーズン途中での息切れに繋がる。同様のことは、他のJチームにもいえること。1人1人挙げていくとキリがないが、例えばチームのキーマンである谷口博之を供出している川崎などは、来シーズンの開幕からしばらく苦しい戦いを強いられるのではなかろうか。非常に言いにくいことだが、天皇杯など「勝ち進んでいる場合ではない」のだ。


 しかし、それにしても……である。JリーグはJ1を18チーム、J2も将来的に18チーム程度の構成を目指している。ということは、試合数は(チーム数−1)×2ということ。J2は13チームという変則状態なので4回戦総当りの48試合(!)、J1の試合数は34試合。J1はナビスコカップが加わるため最低6試合〜最高11試合が加算される。さらにA代表の親善試合、U-X世代の強化試合という名目で10数試合が加算されるとなると、選手の疲労度は大変なものになる。


 ここに、天皇杯が入る。プロチームにとっては、来シーズンの契約通知(戦力外通告含む)を受けた状態で、モチベーションにばらつきがある状態で臨む大会だ。天覧試合という名誉はあるにせよ、決勝戦が元日に設定されているのにはそれほど深い理由があるわけではない。天皇杯が元日決勝に決まったのは「明治神宮の参拝客300万人、その1%でもくれば3万人だ」というだけの話だ(この話は、どこぞの資料でも探ればすぐに出てくる)。


 アマチュアにとっての最高峰である天皇杯の存在意義は、十分に理解している。しかしプロリーグの状況は年を追うごとに変わっており、一方で選手の疲労は十分に考えられていない。どこかにそのしわ寄せはやってくる。そして今年に限って言えば、それは天皇杯になりそうだ。


 こういった天皇杯を「ないがしろにしたほうが良い」状況が生まれるのは、明らかに不健全だろう。スケジュールに何らかの問題があることは明らかで、それを是正するポイントがどこかにあるような気がする。そして個人的に思うのは、僕の場合「五輪代表強化スケジュール」だと思う。それはまた、別の機会に語ることにしたい。

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