第27節広島vs.FC東京分析(上)


 ども、KINDです。更新滞っててすいません。最近あんまし調子よくないんで、ぼちぼちやっていきます。まあ、ぼちぼち読んでやってください(笑)。

結果以上の収穫


 広島ビッグアーチにて生観戦。


 この試合、流れを決定的に変えた2つのビッグプレーがあった。1つは、21分に佐藤寿人が挙げた追撃の1点。そしてもう1つは、GK下田の後半開始直後に見せた、梶山陽平の決定的なヘディングシュートをはじき出したセービングだ。


 佐藤寿がこの早い時間に1点を返さなければ、後半に追撃をかけることはできなかった。そして下田が梶山のヘディングを止められなければ、逆転することは不可能だったろう。そして何より、「試合途中に」「欠かざるべき選手を欠きながら」「4得点を挙げる」というこれ以上ない自信を得ることはできなかったはず。そういった意味で、この試合のMVPは佐藤寿と下田崇の2人にあげたい。


 広島にとってこの試合は、今季最多の5得点を挙げたこと以上に収穫の多いものだった。佐藤寿、駒野友一を試合途中で欠きながら、後半に4得点を挙げて逆転したこと。交代で入った前田俊介李漢宰高柳一誠が必死のプレーを見せ、広島に付きまとっていた選手層の不安をいくらかでも解消させた。この日見せたプレーが継続できれば、少なくとも次節C大阪戦でチームが大崩れすることはないだろう。

「就任以来最悪」


前半は私が指揮をとった中で最悪の試合だった」。試合後の、広島・ペトロビッチ監督のコメントである。その通り、この前半の広島は、「気が抜けている」としか思えないミスが多かった。寄せが甘い、ボールを引き出す動きが少ない、パスミスが多い、ルーズボールに対して最後まで身体を張らない……その結果、最も警戒せねばならない平山相太に対して簡単に前を向かせてしまう。精神的な面で劣勢に立たされ、足が止まったということなのだろう。


 ただ、戦術的な面で言うと、前半は3シャドー左の戸田光洋と、左ボランチ今野泰幸の縦のポジションチェンジに対しマークが決まっていず、平山から落とされるボールをことごとく拾われていた。原因はハッキリしている。1トップ3シャドーの相手に対し、広島は3バック1ボランチここに相手のボランチが攻撃参加すれば、単純な足し算の問題で守備の人数が足りない。どう修正するのかハラハラしながら見ていたが、ペトロビッチ監督が2ボランチに修正する等の指示をした形跡はなかった。


 結果、1ボランチの青山はバイタルエリアに飛び出してくる梶山をケアせざるをえず、3バックは平山にどう前を向かせないかで手一杯になっていた。中途半端な対応をした結果、序盤は完全にFC東京にペースを握られた。FC東京が良かったというよりも、広島が戦術的、技術的な問題点を露呈し、そしてそれが誘発する「劣勢」という精神的な問題をクリアできないことにあった。


 実際、2分に喫した失点は、FKにGK下田が飛び出したもののボールに触れず、こぼれ球をジャーンに押し込まれたもの。13分の梶山陽平の失点は、やはりクリアボールを拾った梶山にしっかりと身体を寄せきれずにシュートを打たれたもの(シュート自体は角度のないところからドロップして下田の頭上を越える、文句の付けようのないものだったが)。いずれも、完全に守備組織を崩されたというより、抑えるべきところを抑えられていないから奪われたものだった。

2つのアクシデント


 21分、柏木陽介の左クロスを佐藤寿人が倒れこみながら左足ボレーで合わせて1点を返す。その後、広島はDFラインからしっかりとパスをつなぎ、中盤がつなぎに顔を出すようになり、徐々にFC東京を自陣に押し返していく。それでも、要所要所で単純なパスミスを起こしたり、斜めに走りこむタイミングで走らなかったり、そういった少しずつの怠慢が重なってリズムを奪い返すには至らなかった。


 そんな中で、2つのアクシデントが起こる。28分、追撃点を挙げた佐藤が前田俊介と交代する。19分頃にジャーンに背後から削られた際、恐らく左足首をねんざしたものと思われる。さらに50分、前半から戸田光洋に悪質なタックルを受けていた駒野が、李漢宰との交代を余儀なくされる。


 50分の時点で、交代枠を2つも消費した。いずれもアクシデントによるもの。しかも、下がったのは現役の日本代表選手。選手層の薄い広島にとっては、致命傷になりうるものといえた。この時点で広島の逆転勝利を予想するものは、スタジアム内に誰一人いなかったに違いない。しかし、現実は時に想像を上回る。


<後半に続きます!>


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