インド戦プレビューに代えて

明日はもうインド戦!


 さて、もう明日に迫ったAFCアジアカップ2007予選インド代表戦。なんともせわしいことで、4日にガーナ戦、7日にJリーグを消化したばかりの代表選手たちは、休む間もなく8日にインドへ向けて出発。現地着後、さっそく練習を行ったようだ。その様子は幾つかのニュースサイトで入ってきている。


 もっとも、練習レポートでは飽き足らないメディアも多いようで、相変わらず「オシム監督が褒めた!中村憲剛、初先発へ!!」だの、「“次世代GK”西川先発抜てきあるゾ」だの好き放題の予測記事が出てきている。


 もちろん単なる憶測でなく何らかの確証を得ている可能性もあるが、例えば中村憲剛の記事にある「先発組と思われるビブス」は過去の練習でもサブ組の選手が付けていたことがあるし、西川の記事に至っては「先発入れ替えを示唆」というだけで、オシムのコメントには西川のニの字も出てきていない。まあ、最近では「洋服の青山は出世するスーツ」で一本ネタを書けてしまうわけだし、何度も引用して恐縮だが「選手選考について、メディアに頼るのはやめよう」。メディアを全く信用しないわけにはいかないが、ことオシム監督に関しては本当に予想が立たない。

バンガロールってどんな場所?


 それよりも、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるバンガロールについて、もう少し詳しい報道が欲しいところだ。バンガロールの街並みについてはサンケイスポーツが触れているが、「アウエーの洗礼」を強調したいためかやたらとマイナス面ばかりの記述が目立つ。

http://www.sanspo.com/soccer/top/st200610/st2006101001.html
■アウエーの洗礼
 ピッチは事前予測よりはよかったが、その他の環境は劣悪。ひどいのは騒音で、人口の多いインドらしく、街は交通渋滞だらけ。しかも皆、クラクションを鳴らす。代表宿泊ホテルは中心部で交通量が激しく、GK川口(磐田)は「うるさいですね」と顔をしかめた。排ガスとほこりもひどく、街中は異臭が漂う。消臭用の塩素をまくことを仕事にしている人がいるほど。なお試合の使用球はインド協会の都合で、JリーグやドイツW杯の公式球となった最新モデルではなく、かつて使われていた型のボールとなる。


 試合球が前世代モデルということを報じているのは価値が高い。またスポニチでも報じているように、練習用のピッチに野良犬が迷い込んでくるなど(笑)、練習環境は必ずしも良いとはいえないようだ。


 だが、この記事だけを読むと、バンガロールという街にインドの他の都市同様「雑踏」「埃っぽい」「汚い」というイメージを感じてしまう。現地に行ったことがない以上、記事を肯定も否定もできないが、一方で次のような記述もあることを紹介しておきたい。

http://journal.mycom.co.jp/news/2003/09/01/08.html
バンガロールは、暑そうなイメージのインドの中にあって、さらに暑そうな南部に位置するが、標高が高いため、ほかのインドの都市に比べ気候は温和。アメリカ帰りのエリート技術者が作ったアメリカンナイズされた現代的な雰囲気の街並みは、ほかのインドの都市の雰囲気とは大きく異なる。街歩くインド人女性は同国独自の服であるサリーを着ずに、洋服にジーンズという組み合わせだ。

ビジネスの街であるバンガロールでは、3輪タクシーはほかの都市でよくありがちな交渉による価格設定ではなく、明朗会計のメーターチャージ。観光大国インドではあるが、バンガロールには観光客が少なく、道を歩く外国人はたいていビジネスパーソン。ビジネスの街だからか、物価はインドにおいては異常な高さだ。ほかの都市でよく見かける野牛もわずか。インドにおいて何もかもが異色なインド最先端の街、それがバンガロールだ。


 サッカー日本代表について憶測記事を書くのはまだ罪がない。しかし特定の都市に対して偏った情報を供給し、マイナスイメージだけを植えつけるのは犯罪的ではなかろうか。この記者がどの程度街並みを歩き回ったのかは分からないが、やや取材が甘いように思える。また、標高が920メートルという高原にあり、イメージとは違ってかなり過ごしやすい気候だという。『バンガロール日本人会』HPによると「日本人にとって一番住みやすい街」とのことで、こういう部分も報じていくことがメディアの責任ではないだろうか。


 余談だが、バンガロールではすでにU-19代表が5月、一足先に遠征を経験し、悪条件に苦しみながらも3戦全勝で遠征を終えている(参照:スポーツナビ)。この遠征に同行した記者は、今回いないのだろうか。どうやらバンガロールに関する情報に関しては、今回もスポナビ宇都宮徹壱氏に期待するしかなさそうだ。

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