鬼武チェアマンの“プロ意識”を問う(撤回)

2006年10月2日15:03:58追記

この発言、とりあえず撤回します。「とりあえず」ですが。理由は、冷静になって考えてみると、「J機構とJクラブの契約」というものが公開資料として用意されていないのは当然なのかもしれない。そう考えると、チェアマン発言はJクラブ間との契約書の中にある「選手が刑事事件を起こした場合」のケースに基づいた発言かもしれない。


 もしそうならば、ネット上の議論では解決できない問題、となる。オレの発言は取り下げた方が賢明かもしれない、と思い、一旦は取り下げます。チェアマンへは、「とりあえず」謝罪します。口汚くののしって申し訳ございませんでした。


 まあ、クラブ側に何らかの処分が下るのを待ってから、この話題はもう一度取り上げます。


 チェアマンとして何かを発言せねばいけないのは分かる。個人事業主である選手の起こした不祥事が、「チームの責任」として報じられることも、日本では致し方のないことだ。


 先に言っておくが、ベットの事件は何をどうやっても刑事事件であり、適切な処分を受けねばならない。その認識に代わりはない。だから、ベットは世間からの批判を甘んじて受けねばならない。


 しかし、Jリーグのチェアマンは、この手の事件に対してどういう発言をすべきなのだろうか。申し訳ないが、この発言を読んで怒り心頭に発してしまった。


http://www.nikkansports.com/soccer/p-sc-tp0-20060929-96788.html
Jリーグの鬼武チェアマンは「子供たちに夢と希望を与える立場のプロ選手が事件を起こしたことが悲しい。


 ここまでは分かる。まったく仰るとおり。だが、これは何ですか。

http://www.nikkansports.com/soccer/p-sc-tp0-20060929-96788.html
クラブの選手管理の問題。断じて許せないこと」

クラブの選手管理の問題」と言いましたね。


 じゃあ、クラブはどこまで選手を管理すればよいのか、明確なガイドラインはあるんでしょうか? あるんですよね、「選手管理の問題」と明言した以上は。どこにあるのか、ちょっと教えてもらえませんか。

 そもそも選手は従業員でなく「個人事業主」であり、嘱託社員や契約社員とも違う「出入り業者」みたいなものです。出入り業者が飲み屋で何かをした、そこまでクラブがどうやって「管理」できるのか教えて頂きたい。


 炭谷アナの盗撮事件やゴルゴル船越のセクハラ事件を「社の管理責任」と報じたメディアがありましたか? え? 彼らは選手と違ってプロではない、サラリーマンだから仕方ない? まあそれは2000万歩ゆずってそうだとしましょう。じゃあ、個人事業主である選手の責任ってどこまであるんだい。クラブは「雇用主」なのか「契約関係にある対等な立場」なのか、どっちなんだい。「雇用主」なら、選手はなぜ国民健康保険に入ってるんだい?

 もう一度言うが「クラブの選手管理の問題」って何だ? じゃあクラブは不祥事を起こさないために全寮制にし、女人禁制にし、厳しく寮則を設け、破った選手に出場停止等の処罰を科せば良いわけですね?


 何、それは極端すぎるって? じゃあきちっとしたガイドラインだしてくださいよ。クラブの選手管理って何ですか。どこまでがクラブの責任でどこからが選手の責任なんですか。そもそもこの話の背景がどうで、クラブに管理しきれる範囲内なのかそうなのかってハッキリ分かっとるわけですか。管理しきれる範囲内にも関わらず起こった不祥事なら、広島はじめ諸クラブはどんな事後策を打てばよいわけですか。


 そういや、あなたが当時会長を務めていたセレッソ大阪では、2002年2月に眞中靖夫選手が街中で暴漢に殴られて大怪我を負った事件がありましたね。あなたの言い分で行くと、この事件は完璧に「クラブの管理責任」じゃないんですか。なんで眞中が夜中の繁華街を1人で歩いてるんですか。ベットのケースと何が違うんですか。あなた、その当時自クラブの管理責任を厳しく問いましたっけ?


 すべてきっちり説明してもらいますよ、新チェアマン。あんまプロをナメんなよ。

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追記:
ああ、まったくもって腹が立つ。何が腹が立つのか。この発言が「Jリーグチェアマン」から出たものだからだ。Jリーグチェアマンの認識からして、個人事業主である選手を「被雇用者の一種」と考えている。そこに、とてつもない情けなさを感じたのだ。この発言で、僕は鬼武チェアマンの今後に何も希望を持てなくなってしまった。プロとアマの違いを峻別できない人間が、プロに対して適切な施策を打てるはずがないからだ。


追記2:
 では鬼武チェアマンは、この件について何とコメントすべきだったのか?

Jリーグの鬼武チェアマンは「子供たちに夢と希望を与える立場のプロ選手が事件を起こしたことが悲しい。

 ここまではOK。正解例は次の通り。

ベット選手には、子供たちへの影響を考えて欲しかった。断じて許せないこと」


 など。

 
 要するに、このケースは選手個人の責任である可能性が大なわけです。なぜなら、午前4時という早朝に選手が出歩いていること自体がおかしいし、選手全員の行動管理をするためにクラブ側が裂くリソースが存在するわけがない(「選手全員にGPSでも付けるのか」「お目付けでも付けるのか」「定時連絡でもさせるのか」ということ)。

 
 ベットが規律を破って、シーズン中にもかかわらず早朝まで友人とのみ、口論になり、殴った。これのどこに「クラブの責任」があるのか。