J1第24節G大阪vs川崎(4-0)[上]

注目の上位決戦は、数的優位も味方につけたG大阪が、4-0で圧勝!首位の座を譲らず!
G大阪 vs 川崎F:西野朗監督(G大阪)記者会見コメント
G大阪 vs 川崎F:関塚隆監督(川崎F)記者会見コメント
G大阪 vs 川崎F:試合終了後の各選手コメント
[以上すべてJ's goal]

-<そして“事件”は起こった>




-<挑戦者を絡めとった王者>

 予想外の大差。もちろん両チームの力量差をあらわしているわけではない。共に持っているエモノが強力で、どちらも中盤の守備が堅固で、どちらも極めて集中力が高い。

 大相撲でも、互角の力量同士ががっぷり四つに組めば、長い間均衡状態が保たれる。そしてその均衡を破るのは、どちらかのエラーであることが多い。少しのバランスの崩れ、仕掛けるタイミングのミス、フェイントの掛け間違い……。Jリーグを代表する横綱になりつつあるG大阪と、横綱の座を奪わんと血気盛んな大関・川崎。両者の力量が伯仲しているがゆえ、均衡が破れたときにはそのバランスの崩れ方も激しい。
 
 そしてそのバランスを失わせたのは、25分のマギヌンの退場劇である。だが、そこまでペースを握っていたのはG大阪だったことも付記せねばならない。退場劇までの展開は、王者が挑戦者をしたたかに篭絡(ろうらく)する姿であった。
 
-<G大阪の“川崎殺し”> 
 前半開始から、両チームの狙いは明らかだった。起点となる中盤のつぶしあいである。G大阪中村憲剛谷口博之のダブルボランチに対して、川崎は遠藤保仁橋本英郎に対して。プレッシャーもスピードも、この日行われたどの試合よりもスピーディであろう展開。ハイレベルな争いではあるが、どちらがより意図的にボールを「回させて」いたのか。それは、G大阪のほうである
 
 この日のG大阪の陣形は左SBに山口智、CBにシジクレイ宮本恒靖、右SBに加地亮。中盤はボックス型で明神智和橋本英郎が守備的に、遠藤保仁二川孝広が攻撃的な位置に入り、2トップは播戸竜二マグノ・アウベス。配置だけを見ると、バランスのよい4−4−2に見える。
 
 しかし、実際の運用方法は異なる。彼らは、明らかに左サイド(川崎の右サイド)を捨てていた。川崎の右サイドハーフ森勇介に対しては、低い位置であればフリーであってもある程度持たせる。もちろん全くアタックにいかないわけではないが、近い位置の遠藤、二川、あるいは山口が「一応」見る程度。決して明神、橋本のボランチコンビが見ることはない。また、2人以上が見ることはしない。16分には、中央から右サイドに展開されて森がボールを持ったが、対応に行ったのは山口1人。そして山口の対応は「中を切る」に止め、決して飛び込まず、縦には行かせている。「クロスは上げさせて良い」という対応である。
 
 山口が左SB的な位置を取るのは森が対面に張り出したときだけで、G大阪右サイドで展開されたときは必ず内側に絞り、3バックの左CBとしてのポジショニングをとり、我那覇へのマークを優先した。それは森勇介が左サイドのマルコンと比べ突破力はなく、クロスの精度もそこまで恐ろしくないこともある。だが、もっと大きいのは中を空けたくないからに他ならない。
 
 G大阪の中央に対するプレッシャーは、すさまじかった。DFラインの前に明神と橋本が常に網を張り、ジュニーニョマギヌンへのパスコースとスペースを消す。その前で二川、遠藤、マグノ、播戸はDFラインよりも「中村・谷口をつぶすこと」を最重視し、両者にボールが入るやすさまじい勢いでプレッシャーを掛け、前を向かせなかった。
 
 これほどまでに徹底した中央守備を行えば、当然攻撃時の枚数は少ない。だが西野朗監督は、二川・マグノ・播戸の3名でも十分にカウンターができると踏んだのだろう。実際、この作戦は前半10分過ぎからはまり出す。

 19分、播戸が右サイドでキープしたボールを加地へ戻すと、加地はチップキックで裏のスペースへボールを蹴りだし、そのまま右サイドを突破。ゴールラインぎりぎりの位置までえぐってファーポストにクロス。このボールに、長い距離を走ってきたDF山口が反応して右足シュートを放ったが、枠を外れる。
 
 直後の22分には、やはり右サイドを加地が突破して、フワリとしたクロスボールをファーポストへ。このボールがやや流れたところを遠藤が拾うと、再び走り込んできた山口にパス。山口は右足インフロントに引っ掛けてファーポストに狙い済ましたシュートを放つが、ポストに弾かれてしまう。とはいえ、川崎の右サイド森が守備に戻らないスキを突いて、2度も決定的チャンスに絡んでみせた山口の運動量は賞賛されるべきだろう。
 
 G大阪はさらに縦パス1本から播戸が抜け出しかけたり、左サイドで二川が2人を引き付けて中央にラストパスを出すなど、徹底的に川崎3バックの両サイドを突き、「やりたい放題」の状態にした。川崎が中央を封じられて手詰まりになる一方、G大阪は少人数でのカウンターと右サイドアタックから、次々とチャンスを作り出したのである。
 
 川崎のチャンスはわずかに1回。4分、マルコンのミスキックを蹴り返そうとしたGK藤ヶ谷陽介が、痛恨の空振り。ボールは我那覇の目の前にこぼれるが、突然の出来事に我那覇インサイドキックで押し込もうとするのがやっと。力なく転がったボールは、藤ヶ谷の胸元に納まった。

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