謹賀新年&新シーズンの広島が抱える“リスク”

 ご挨拶遅れました。新年あけましておめでとうございます。
 今年も、本ブログの戯言に付き合って頂ければと思います。

 さて、サンフレッチェ広島の今シーズンについて。
 2008年の広島を簡単に振り返ると。まずはJ2降格の屈辱を、2008年3月のゼロックス・スーパーカップ優勝で慰め、2008年J2を勝ち点100・得点99という圧倒的な数字で制覇し雪辱した。さらに天皇杯では東京V、川崎を零封で下し、天皇杯準優勝の柏に惜敗したものの内容で圧倒、来季へ希望をつないだ。

 オフシーズンは、懸案の右WBに名門ディナモ・ザグレブからMFミハエル・ミキッチを獲得。http://d.hatena.ne.jp/KIND/20081212/p1リベロのバックアッパーとして、ジェフ千葉を戦力外となったDF中島浩司を補強。両WBをこなせる楽山孝志の完全移籍、広島Yからの新卒GK原裕太郎の昇格があったが、実質的な補強は冒頭の2選手にとどまる。

 世界的な不況、広島の財政事情、チームが成熟し各ポジションに求められる個性が「技術」「タフさ」「高度な戦術理解力」に特化されてきたことを思えば、この補強は御の字と表現するほかない。

 100点の補強とはいえない。以前にも述べたが、CBの補強がなされなかった点は不満だ。しかし「不可」であるともいえない。60点以下の採点をする向きは、自身のウィッシュリストを作成し、移籍金および年俸込みの見込み予算を算出し、費用対効果を検討してみるといい。恐らく、今回の補強を「明白に」上回るリストは作成できないはずだ。

 今回の補強に使えた予算は、動向を見る限り1億5,000万円前後とみる。その予算は、ディナモへの違約金とミキッチの年俸でほとんど使ったはず。中島は移籍金ゼロであり、年俸もさほど高いとは思えない。彼らが戦力化することが前提だが、今回に関してはそれほど悪い補強ではないと思う。

 むしろ、今年のリスクは、2007年初頭と変わらず「守備」だ。思い出してほしいが、降格した2007シーズンの開幕戦で広島はFC東京を4-2で破った。http://www.j-league.or.jp/data/view.php?d=j1f&t=result&s=01&y=2007佐藤寿人ウェズレイがそれぞれ2ゴールを挙げ、スコア上は華々しいスタートを切った。

 しかし、内容は厳しかった。FC東京に20本ものシュートを浴び、交代出場の平山相太をエリア内で3度フリーにするなど、守備のほころびが第1節にして露見した試合だった。この試合で他サポから「広島強し」の声が湧きあがったのは、自分としては強い違和感があった。実際にJ2落ちしたわけだから、当時の自分の感覚はそれほど的外れではなかったと思う。

 その上で今年を占うと、やはり守備のリスクが気になる。広島のリスクヘッジの掛け方は「ポゼッションで上回る」である。ボールを保持し続け、「相手にボールを渡さない」ことで結果としてシュートを打たせない、チャンスを減らす。J2ではこのヘッジが効き、広島は開幕から閉幕まで1位をキープするという荒業をやってのけた。

 J1ではこうはいかない。マンチェスター・ユナイテッドにボール保持で上回ったG大阪をはじめ、ポゼッション能力に優れる鹿島や川崎、清水といったチームがいる。一方でポゼッションしないで一気に攻めきる大分や名古屋など、硬い守備を売りにするチームもある。「ボールを渡さない」というだけでリスクヘッジできるとは考えにくい。

 しかし広島は、今オフの補強動向を見るに、「ボール保持で上回る」という戦略を採用し続けるようだ。守備のリスクに目をつぶり、「ボール保持率の堅持」でリスクヘッジをかけ、他のリソースをすべて攻撃にそそぐ。そうとしか見えない。

 広島サポに必要なのは、そうした現状認識だろう。2007年に比べてレベルアップしたであろうとはいえ、広島は降格した年と変わらないリスクを保持している。そうした現状を踏まえれば、今年に関して高望みはできない。かつて「残留は大丈夫だろう」と書いたが、「残留は最低ライン」ということではない。やはり「残留が御の字」というのが、今年の心持ではないだろうか。

 とはいえ、マツダデオデオなどの有力スポンサーが軒並み株価を下げている現状を思えば、本当は「チーム存続で御の字」なのかもしれないが。

 新年早々辛気臭い話になってしまったが、本年もよろしくお願いします。