サッカー観戦は楽しい。

 

 ああいう事件があったとはいえ、本来的にサッカー観戦はとても楽しいです。

 僕はJリーグ元年からずっとサンフレッチェ広島を応援していますが、15年経っても、主力がゴッソリ移籍したりJ2に落ちたりしても、「腐れ縁だから」という諦めではなく、純粋に楽しみを求めてスタジアムに足を運んでいます。
 ただ、やっぱりJリーグは、「まったくサッカーを知らない人」に対する訴求力が弱いと思う。それは単純に露出量が少なく、またスカパーとの独占契約によって「見たい人がカネを払って見る」モノ、つまり箱庭方式への移行を早々に決めてしまったから。それによって、外部の目が入る余地が少なくなり、チームにとってサポーターは単なるお得意さん、常連以上の「古参」になりつつある。

 そうした関係性は、チーム・選手とファンとの結びつきを強固にする一方で、どうしたって新参排除の論理を帯びます。「ファンとサポーターを分けるのはなぜ?」という質問に対して、「共に戦うのがサポーターなんだ」と答えたところで、「フーン、じゃあ勝手に戦ってれば」と返されるのがオチ。論理を共有するための地盤がそこにはない。

 それでも浦和のように毎回6万人が集まるならよいですが、広島のように平均1万人がやっとという状況では、新参を積極的に呼び込む努力を続けなければ、いつまで経ってもスポンサー頼みの脆弱な経営が続きます。そして現在のスポンサーも、決してメリットがあってスポンサードしているわけではなく、「地縁だから」「地元唯一のクラブだから」という情でお金を出している。それはつまり、企業が業績不振に陥れば、いつでも関係を切られる可能性がある、ということです。

 こうした関係性は完全に企業依存であり、地域密着というJリーグの理念と相反する。そしてこうした関係が何もサンフレッチェ特有のものではない以上、現時点でJリーグ百年構想における「地域密着」の理念はまったく達成されていないといわざるを得ないでしょう。

 どうすればいいのか。ここはまず基本に立ち返るべきかと思います。つまり、「サッカー観戦は楽しい」「だから一緒に見に行こう」ということ。裾野を広げること。そのためには「あそこに行けば楽しい何かがあるよ」ということを、もっと伝えるべきだと思います。

 ということで、まずは広島ビッグアーチの「楽しさ」を演出している槙野&森脇劇場をご覧ください。ビッグアーチで勝利した場合、こういう風に選手がサポーターを煽ってくれます。ものすごく楽しいです。