ヲタの攻撃性は、不安の裏返し。

 ひさびさに税リーグニュースさんを読んでたら、こんな記事があった。

http://blog.livedoor.jp/zeileague/archives/51203615.html

 詳細は上記URLを直接読んで頂くとして。

 個人的にはこうした「アホーター」のネット内行動に興味を持った。どうしてこういう心理が働くのか、という部分。すなわち、「“敵”をわざわざ探してきて」「叩きに行く」という心理だ。

 端的にいえば、この攻撃性は不安の裏返しである。そしてこういう心理は、別に「アホーター」「ヘディング脳」特有のものではなく、むしろ広い意味で「ヲタク」のものだと思っている。
 こういう心理、すなわち「世界が閉じて、完結している」状態。自分の外に世界があると思わず、「自分が思う世界=世界のすべて」だと思い込む。hideの『ピンクスパイダー』の蜘蛛みたいなもの(笑)。

 しかし、その状態に自信を持っているわけではなく、「こんな狭い世界に閉じこもってていいんだろうか」という不安を常に抱えている。しかし、世界の広げ方が自分では分からないため、閉じこもってしまう。そこをつつかれると暴れだす。引きこもりを続ける息子が、おずおず「そろそろ働きにいって」と口にした母親に手を挙げるがごとく。

 なんでこういう風に考えるかというと、特に学生時代の自分には、少なからずそのケがあったからだ。

 匿名でいちいちサッカー批判をする人(というか、単なる率直な感想だよねこれは)のブログに突撃したりはしないけど、「Jリーグってチーム数多すぎだよね」「チーム名が訳分からないよね」という批判に対して整然とした反論ができず、「あいつはサッカーを分かっていない」という感想を抱いたりはしていた。そうした正論に目を背け、「サッカーは素晴らしい、こんな素晴らしいものが分からない世間は間違っている」という考え方で自己完結していた。

 吹浦さんのブログのコメント欄に書き込むアホーターを見ていると、「しょーもなー」と思いつつも、まったくの他人事とは思えない。それは過去の「閉じた」世界を抱えていた自分と、多少なりともオーバーラップする部分があるからだ。

 ただ、こうした「お前はサッカーをわかっていない」なんて言動は、サッカーにとって何の利益ももたらさないことは明白。税リーグニュースさんがまとめておられるとおり、今回の一件で、吹浦忠正さんも彼の近親者も「サッカーのサポーターは頭の悪い卑怯な連中だ」と思ったのは間違いないだろう。

 何度も書きたくはないが、サッカー界にとって今もっとも必要なのは、Jリーグ開幕前夜のような「一般層へ浸透させる努力」だ。吹浦さんのブログにしょーもないコメントを残す輩は、そうした問題意識がないだけでなく、自分の肥大した自意識を否定されたくないがため「だけ」に戦うお子様であって、実はサッカーの立場を何一つ代弁していない。

 一般層へ浸透させるためには、こうした負のエネルギーを、どうにかして正の方向、つまり結果として「サッカーを好きになってもらう」方向に向けないといけないはずなのだが。なかなか難しいものだな、と思う。

■追記:
 今回のアホーターたちの行動は、高校生にもバカにされているようだ。こうした逆・草の根運動が、一般層への「サッカーのサポーターは気持ち悪い」という悪評を着々と広げていく。http://blog.canpan.info/fukiura/archive/4117