「残念、そこはストヤノフだ」(2008年J2第3節湘南戦)

 に尽きるかと。

http://www.tbs.co.jp/supers/game/20080320_5402.html
http://www.jsgoal.jp/news/00062000/00062368.html
http://www.jsgoal.jp/news/00062000/00062369.html

 「流れで崩されたわけじゃない」「一本入れれば違う展開になった」「もったいない失点だった」……去年あたり、どっかで聞いた台詞が並んでいますなあ(遠い目)。

 先に書いときますが、これで「昇格は決まりだ」とは思いません。しかし「J2よええ」とは書いておきます。もちろん、中盤になるにしたがってウチも「よええ」となる要素が幾つかあるのでアレですが。

 まあ、試合に関しては順当勝ちでしょう。技術の差、セットプレーの差、そして経験の差です。特にセットプレーの差は現代サッカーにおいては「≒チーム力の差」といえる。事故による失点で引き分けはあったかもしれませんが、負ける要素はなかった。

 柏木陽介森崎和幸を欠き、久保竜彦とユキッチを事実上温存している状況。見方によっては「レギュラー4人落ち」とさえいえる中で、無失点の3連勝です。結果について文句などあろうはずがない。もちろん内容に課題はあるし、明らかな問題もある。しかし、正直なところJ2のチームでその「問題」を突いて広島を崩せるチームがどれだけいるか、という気持ちがあります。第2、第3クールと相手もこちらも「慣れ」が出てくるでしょうが、相手の技術が上がるわけではないですから。

 J1仕様のチームに戻すのは、昇格が決まってからでも可能。チームにはそれだけの選手がいる。「J2に慣れるな!」というのは言うは易し。しかし42試合もあるのだから、「慣れるのは仕方ない、戻せ」というほうが現実的とも思う。今はJ2のヌルさに感謝し、相手が「思ったほど力の差はない」と認識していることを冷笑し、適当にポゼッションさせて要所を締め、「なんだか知らないけど勝ち点だけはある」状態にすること。波乱も派手さも必要ない。

 静かに、粛々と、淡々と、無慈悲に、冷血に、穏便に、静謐に、取り立てて話題に上ることなく、毎朝ポストに新聞が届くことを騒がないのと同様に、「あれ? もう終わってたの? 気付かなかったや」という小児科医の注射のよーに昇格を決めて頂きたく。

■対戦相手雑感(湘南)
・雨、風、水溜りやりすぎだろ
・斎藤とかジャーンとかココにいたんだ
アジエルうめー
アジエル以外どってことねー
鈴木将太は晴れの日なら厄介かも
・セットプレー精度ねー
・ってかラストパス精度ねー
・雨の日の戦い方しらなすぎ
リンコンが戻ってきたらアジエルと一緒にケアだな

 ごめんちゃい。ぶっちゃけ湘南で怖いのアジエルだけ。

 豪雨に強風、前半と後半で風上と風下が入れ替わり、風下に立たされたチームが著しく不利になる。ピッチにはところどころに水溜りができ、場所によってボールが走ったり、いきなり止まったりする。上空にものすごい風が吹いていて、パントキックはすべて押し流されたり戻されたり。まともなサッカーをやれるコンディションではない。内容をどうこういうのはこ、の試合に限ってはナシ。

 ただ、やはりその中でも技術の差は出た。特にストヤノフ、久保、向こうでいうとアジエルは、このピッチコンディションでもほとんど関係なくプレーできていた。それは単純に技術が高いことに加え、「雨の日はどうするべきか」がよく分かっていたということ。

 湘南の選手は、総じてモタモタとドリブルをしたり、わざわざボールを止めてそこから動かしていた。一方広島の選手はワンタッチ、多くともツータッチでさっさとボールを手放し、つなげなければさっさと裏に蹴りこんでイーブンボールに戻し、相手に渡ればさっさとディフェンスに切り替えた。

 「ハッキリとプレーしよう」という意識が、広島と湘南とでは大きく違った。もちろん20分すぎに浩司のFKで先制できたことは大きいが、それは「ハッキリ」という意識付けを強化したにすぎない。そこがミスの多寡に現われていた。「雨の日の戦い方」を知っていたのは、広島のほう。そこも「チーム力の差」と感じる次第。

 それにしても驚きなのは、今日の試合がTV解説において「昇格・優勝候補同士の戦い」と位置づけられ、注目のカードとして取り上げられていたこと。

 確かに、湘南は愛媛・草津に比べれば戦力的に充実していたかもしれない。しかしJ1レベルに達しているかといえば極めて微妙。豪雨・暴風・水溜りと三拍子そろったコンディションを差し引いても、ある程度チーム力を見るポイントはある。そしてぶっちゃけると、脅威はアジエルだけ。そういうチームが「昇格候補」になるということは、他チームの力量も推して測るべし。今のところ草津、愛媛、湘南、仙台、福岡と5チーム見てきましたが、「J2よええ」の感想は拭えません。ま、2003年はその「よええ」に苦しめられたわけですが。

 3試合を終えて色々感じたので、別エントリで書き留めます。