柿谷曜一朗への期待と不安

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/headlines/20060917-00000062-kyodo_sp-spo.html

 U-17日本、AFC U-17大会優勝おめでとう。そして、ごめんよ。君たちの試合、ストリーミング含めてただの1試合も見ていない。これからどこからか映像を手に入れてみるつもりだけど、そういうわけで試合全体の流れがどうかとかは、書かない。前の試合から続いている流れ、修正した箇所、攻撃のパターン、DFラインの位置取り、交代策などまったく分からないので。

 なので、ここは2−2に追いついたシーンにおいて、きれいなスルーパスから端戸仁のゴールをアシストした柿谷曜一朗選手へのコメントを。



柿谷曜一朗

 第一印象は、「前園っぽい」。身長は柿谷のほうがあるけれども、ボールの持ち方やさばき方、左サイドに流れてボールを受けて、必ず勝負を仕掛けて、上体を左右に揺らして抜くフェイントとか、とっても前園真聖っぽい。

 アシストとなったシーンでは、左サイドのオープンスペースでボールを受けて、中央にゆっくりとドリブルで持ち上がり、一瞬止まった。そして対面の相手3人の動きが止まった瞬間に、右足でチョコンと押し出すようにしてゆるいゴロのスルーパス。これを、抜け出したFWがゴールから遠ざかりながら左足を振りぬき、GKの脇を抜けてゴールインした。

 このシーンにおける柿谷のすごさは、「ゆっくりと」プレーしたことだと思う。この試合において柿谷は、ドリブルで突っかけたりFWに預けてワンツーでDFラインの裏を取ったり、あるいは逆サイに展開したりと様々なプレーで布石を打ってきた。特に柿谷のドリブルは非常にキレがあり、容易に飛び込めば交わされるし、行かなければミドルもサイドチェンジもある。相手にとっては、いろいろな選択肢を押し付けられる非常にイヤな相手だ。そういう柿谷に対し、北朝鮮はわずかに対応が遅れ、柿谷に前を向いてボールを持たれてしまった。飛び込むには距離が離れすぎていた。その中で、柿谷が一瞬足を止めた。いろいろなことを考えていたDFは、歩調をあわせるようにフッと足を止めてしまった。

 柿谷は、その一瞬を見逃さなかった。ノーフェイク(視線のフェイントぐらいは入れてるのかも、未確認)で、右足でチョコンと流すような、ゆっくりとしたスルーパスを送った。もしこのパスがトーキックで強いボールだったら、逆に相手は反応できたかも知れない。柿谷がゆっくりとドリブルに入り、意表を突くタイミングで、ゆっくりとしたボールを流し込んだことで、相手はカットするタイミングを失った。

 この選手、この年齢にして相手の崩し方を心得ている。セレッソが16歳にしてトップ登録したのも当然の逸材だといえる。将来的に、セレッソの将来を背負う素材になる。試合を丸々見てはいないので、諸々の課題はあるだろうが、大事に育ててもらいたい。

 ただ‥‥気になる点はある。まず、運動量の少なさ。攻から守にうつった時に棒立ちになるシーン、パスを出した後に棒立ちになるシーン、止まって足元にボールを要求するシーン、さらにインサイドに入ったとき、サイドからのクロスに対して全力で反応しないシーン……などなど、幾つかの場面で運動量がないことが気になった。華麗なテクニックがあり、フォトジェニックで、被写体としては画にしやすい選手。つまりスターシステムに祭り上げられやすい。

 セレッソに「大事に」育てて欲しいというのは、もちろん「勘違いしないように」ということである。彼はまだ卵にすぎない。孵化するまでは、じっくり暖めて、しっかりとした「サッカーの栄養」を吸収させてほしいものである。


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