「高原問題」について

 タイミング的にちょっと遅いのだけど、mixiの記事を手直しして転載。

 いろいろ書こうと思ってたら、にしんさんがエントリーされていた。

 http://soratobi.blog.drecom.jp/archive/1456

 オレが思うのは、「これまで、クラブが声挙げなさすぎだったんじゃないの?」ということ。確かに、今回の高原の招集拒否は、一見して「浦和のゴリ押し」に見える。しかし逆にいえば、この件がクローズアップされるということは、それだけ「クラブが代表招集を拒否する」ことが一般的でないということでもある。「こんな風に分かりやすい形で招集拒否したクラブってなくね?」ということだ。
 代表招集については、全部が密室で決められている感がある。クラブに対しては、招集に関する暗黙裡の圧力――「拒否したら、もうお宅からは呼ばないよ?」――がある、らしい。「クラブは代表のために協力すべき」という「一見して正論」を振りかざす人は、今はそう多くないかもしれないが、そういう人に対して「クラブはそういう圧力とも戦ってるんだよ」と力説したこともある。

 が、今にして思うと、「本当にクラブは『戦って』いたのか?」という疑問がないわけではない。というより、今回の浦和のように、メディアが情報に流れるような「でかい声」を出すクラブはいなかったんじゃないか。ウチ(サンフレッチェ広島)の場合、2002年にJ2落ちの危機に際しても、アジア大会という重要だがマストではない大会に森崎和幸森崎浩司、駒野、林卓人という4選手を気前よく貸し出した。また昨年のJ2落ちの際にも、特に順位争いが非常に厳しかった後半にも柏木、青山の2選手を供出した。

 あまつさえ、青山はそこでケガをしてシーズンを棒に振ってさえいる。昨年の場合は五輪最終予選だったのでマストではあったのだが、クラブにしてみればJ1残留もやはりマスト。当然そこは議論がなければいけないが、果たしてそこで「ウチはこういう事情なのでどうしても貸せない」という議論があったのか。どうも、そういう形跡は見えないのだが。

 日本サッカー協会は旧態依然とした組織で、派閥政治のカタマリ。悪い意味での「体育会系」的な組織で、そういうところで協会という「お上」にたてつくと、それはそれは陰湿な報復をされる危険が大きい。直近でいうと、G大阪の西野監督など、猛然と抗議をしたいところをじっとガマンしているのが見て取れる。

 しかし、シーズン前に協会・リーグ・クラブの3者で話し合うというが、シーズンインしてから状況が変わること、具体的には「予想外の残留争い」なんてことは幾らでもある。そのときに、「これは決まっていることだから」とホイホイ代表に選手を差し出すクラブは、やっぱ間違ってるんじゃないか。

 代表を通じて選手は成長するが、その選手に給料を払っているのはクラブなのだ。「代表権」を人質に取られたままでいいのか、と思う。例えば今回のU-23アメリカ遠征のような、現時点で対戦相手すら満足に用意できていない、というふざけた遠征は、全クラブが結託して拒否すべきだろう。そうした態度を取り続けることによって、結局は協会側のクラブに対する態度も改まると思うのだが。

 クラブの意見がいつも正しいというわけではない。ただ、現状はにしんさん仰るところの「でかい声」を出すところの意見が通る形になっている。それは、明らかに健全なことではない。現状で、クラブの声はあまりに小さい。もっと声を挙げていくべきだ、と思う。