現代表は「点」である

オシム日本は「計3週目」ですらない

 サッカー日本代表の監督が、ジーコからイビチャ・オシムに変わって約3カ月が経つ。オシム監督が初采配を取ったトリニダード・トバゴ戦が8月9日。それから数えて、オシム指揮下の代表チームはまだ2カ月も経過していない。


 いや、その数え方には問題がある。実際に彼らが代表チームとして活動した日数は、トリニダード・トバゴ戦前の3日間、ホームのイエメン戦前の3日間、アウエーサウジ戦前の3日間、アウエーイエメン戦前の2日間、そして今回のガーナ戦前の3日間だ。試合日を含めて合計してもわずか19日間。3週間にも満たない。それらの中には移動日も含まれ、しかもすべて不連続な日程なのである。「3週間連続して強化したチーム」といえないことは確かだ。


 さらに、トリニダード・トバゴ戦とガーナ戦は親善試合。残り3試合は公式戦。いずれも、メンバーは大幅に入れ替わっている。試合の目的が「テストすること」と「勝ち点を取ること」なのだから、当然だ。すると、オシムの日本代表は「親善試合」+「公式戦3試合」+「親善試合」という流れで来ていることになる。


 そうすると、僕の中では一つの大きな疑問が持ち上がってくる。現時点において、代表チームを連続した「線」として語ってよいのか、ということだ。クラブでも始動1カ月のチームの出来など不問にするのに、代表だといきなり内容の連続性を見ようとしてしまう。本来これは、ちょっといびつな構造なのではないか。

ポリバレント”ブームの不思議


 僕は、ガーナ戦とそれまでの試合が「同じ」とはまったく思えなかった。ざっくりとこちらの投稿に触れたように、メンバーを大幅にいじり、相手のレベルに合わせてやり方を変えた。確認しておくが、僕は以前の試合まで、ここまで「ポリバレント」が強調される論調を一つたりとも聞いていない。この「ポリバレントブーム」は明らかに、ガーナ戦終了後に出てきたものだ。その論調が、ガーナ戦という「点」を称して出てきたものである以上、鵜呑みにできないのは当然だろう。「ちょっとちょっと、Jリーグ無視してませんか?」ということだ。代表選手全員がJリーガーである以上、これは当然の疑問である。


 単純に比較しても、選手はクラブで練習を積むことが圧倒的に多い。だから鈴木啓太は「代表で得たものを還元する」と言っている。クラブチームが「線」だとすれば、代表は今のところ「点」でしかない。「点」を「線」として分析することに、意味があるのだろうか。


 僕は「あれはガーナ戦用のチーム」としか思えないのだ。少なくとも、次の試合で「線」としての傍証が出るまで(つまり、インド戦で闘莉王や坪井ら「スペシャリスト」に代わって、「ポリバレントなCB今野」を起用した場合など)は、僕の中では「点」である。(逆に、傍証が出れば意見を変える用意がある)

まだ早い、ガマンしよう


 ガーナ戦が試合として面白かったのは確か。それが過去の試合とまったく関係ない、とは思わない。しかし、それは「ある程度」。3日程度の練習で共有される程度の「連続性」は、形容としてはやはり「点」が妥当だと思う。僕は、「線」など期待できない状況・段階にも関わらずある程度の連続性が見えたから「よくやった」と思う。それ以上のことは、語りようがない。チームコンセプトが「ポリバレント優先」なのか「ポリバレントは次善策」なのか、この段階では議論しようがないと思う。


 もし「線」を前提にして語るのであれば、最低でもメンバーはある程度固定されているべきだし、ある程度のまとまった時間一緒に練習した経験が必要。でもそれって、主にジーコを批判していた人々が反発していた「固定したメンバーで熟成を図る」ですよ? オシムのチームは、それをやってません。アクシデントもあって、めまぐるしくメンバーが入れ替わった。少なくともガーナ戦のチームは、現時点で「点」としてしか捉えようがないのではないでしょうか。


 だから、僕は「まだ早い」と思います。ポリバレントが重要とか、そうでないとか、議論すること自体が。冒頭に説明したとおり、オシム指揮下の代表チームは発足してからまだ「計3週間も経っていない」。オシム自身が「まだ時間が必要だ」と言うように、われわれはもう少しガマンするべきではないのでしょうか。たぶん。


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