Jリーグに厳しい目を


●50,000PVの御礼に代えて

「最近回るの早いなー」と思っていたら、5日の22時頃に確認したら50,000PVを越えていました。開設したのが9月2日頃で、本格始動が7日頃。多い日で5,000アクセスあったこともありますが、最近は2,000PV/日くらい。本当に、感謝しております。これからも、「分かりやすく」「読んで頂く」を心がけて、ブログを更新してまいります。


 さて、ヒットの御礼に代えて一つコラムを。テーマは「Jリーグに厳しい目を」です。


Jリーグは“ミス”リーグ?


 最近、とある事情でJ1を続けざまに何試合も見ています。通算すると恐らくこの1カ月で20試合以上。そのうち試合レポートを書いたのは12本。そして、海外でプレーする選手が1人もいないオシム代表の試合も、全試合見ています。


 その中で思うのは、本当にミスが多いな、ということ。「サッカーがそういうスポーツだから」という次元では明らかにない、ミス。「そこは寄せなきゃダメだろ」「そこで横パスはありえないだろ」「そこは強いクサビ入れろよ」「サポート入るの遅いよ」「そこでシャツ引っ張らないのはありえないだろ」「そこはもう少し腰落として粘れよ」「足元じゃなくてスペースだろ」「ワンタッチ多いよ」「ちゃんと欲しがってる足に出せよ」「1対1なんだから落ち着けよ」……たくさん言葉を並べましたが、技術に起因するもの、精神面に起因するもの、要するに「努力次第で改善するミス」が大変多い。一言でいって、「意識が低い」から起こるミスです。


 しかし、日本人は決して「資質」が低いわけではない。中田英、中村、小野、稲本、高原といった選手は、長短はありましたが海外クラブでレギュラーを取りました。彼らがそれ以前にプレーしていたのはJリーグです。むろん、代表における国際経験が彼らを変えた部分は大きい(中田英寿のU-17代表時代における「ナイジェリアの身体能力にはビビった」エピソードは有名ですね)。ですが、彼らが最も多く経験した試合の場は、Jリーグでしかない。彼らが頭角を現したのは、資質もありますが「意識の高さ」でしょう。


 名良橋晃がどこかのインタビューで発言していましたが、中田英寿は平塚時代、試合30分前に筋トレをし、試合中にあえて負荷がかかるようなトレーニングをしていたそうです(つまり、あえて不調の中でプレーをする、という文脈。詳しいやり方は失念しました、申し訳ない)。もちろん、それは誰かに言われたからではない。彼自身が自らそうしたことです。


 自分自身で将来を見据え、そこまで準備していた選手が、中田英のほかにいたでしょうか。いや、今現在Jリーグでいるでしょうか。いるのかも知れません。ですが、だったらとっくに頭角を現してないといけないはずです。海外で若手と呼ばれるのは20歳までなんですから。(追記:だから枝村匠馬本田圭佑梅崎司らには期待しています。彼らが「中心選手」としての意識を持つかどうか)


●選手はJリーグで伸ばすしかない


 日頃から意識を高めれば、もっともっと素材は開花する。「世界レベルでは許されないミス」がJリーグでも許されなくなれば、おのずと選手の意識は変わり、パス1本、シュート1本へのこだわり、ひいては試合に臨む準備、コンディショニング、モチベーションも違ってきます(だから、僕は代表監督に「モチベーション・コントロールが足りなかった」なんて意見を聞くと情けなくなるんです。そうか、代表選手にプロ意識はなくていいのか、代表は監督次第のチームで良いのか、と)。僕がプロと評価している選手で、監督のせいでモチベーションを下げている選手(つまりいつでも出れる準備をしていない選手)はいませんね。


 放映権バブルがはじけ、欧州移籍が容易ではなくなった今(これについてはまた今度、詳しく触れたいと思います)、EU圏外である日本人選手は、海外に「即戦力」として通用するレベルまで成長し、スカウトの目に引っかかるしかない。そしてその強化を図る場は、日頃からのJリーグでの鍛錬以外にありえない。結局、選手はJリーグで伸びるしかないんです。


 世界中のどんなスーパープレーヤーだって、ほとんどが厳しい国内リーグで才能を開花させ、代表に「選ばれて」いる。「代表」とは書いて字のごとく国を代表する「選抜チーム」であって、「選手を育てる」のは二次的な要素でしかないはずなんです。


 日本は、オシムの言葉を借りれば「サッカー的に孤立している」。だからこそ、これまで代表チームをある種育成の場、国際経験を与える貴重な機会と捉えてきた。だけど、本来育成段階はU-20までの「ユース」と呼ばれる年代までであって、それ以降の選手は「プロフェッショナル」でないとおかしい。代表は完成された選手が集まる成熟したチームでないといけない。そのためには、土台であるJリーグのレベルアップが不可欠です。


 Jリーグが開幕してから13年が経ちました。もうそろそろ、短期間の代表合宿で、代表監督が魔法を起こす期待をするのは止めましょうオシムがなぜ「私は魔法使いではない」と言ったのか、その意味を考えましょう。われわれサポーターは、Jリーグで厳しく鍛え上げられ、練り上げられた選手たちが「どれだけ世界で通用するか」を見る存在です。


Jリーグを厳しい目で見る」。それが、日本の正しい強化への道だと信じて、これからもJリーグを沢山見ていきたいと思います。

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●追記:オシムコメント再掲

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/kaiken/200610/at00010828.html
戦術面はまったく問題ない。個人スキルの点で少し問題がある。オプションのクオリティーの高さ、アイデアの豊富さ、そのアイデアを試合のプレッシャーの中で出せるか。日本の選手はプレッシャーのないところなら、アイデアもあって、それを実現できる。ところが大事なのは、プレッシャーの中でそれを実現できるかどうかということ。


 Jリーグと欧州トップリーグの一番の違いは「スピード」と「プレッシャー」です。僕が言いたいことは、この部分に凝縮されている。中田英寿は、プレッシャーが掛かる試合の中でも、相手の素早いプレスがあっても、泥沼のピッチコンディションでも、「普通に」プレーができた選手だった。「悪いなりに」プレーできた選手だった。


 監督の指示も勿論あっただろうが、それ以前に主体的に動き、自らパスコースを作り、ボールを受け、適切なタイミングで手放し、リズムを作り、時にはミドルシュートを放った。そして返す刀で味方に「こう動け」という指示ができた。あらゆる局面で、決してゲームから消えることはなかった。それは彼の肉体的、精神的な強さに加え、「意識」の高さの賜物だと思う。


 ジーコが監督として悪かった、最悪だった、それはそれでも良い。だが、そんな「最悪の監督」の下でも普通にプレーできた選手とできなかった選手がいた。その「差」はどこにあったのか。+チームガイストというボールの特性をいち早く活かし、ミドルシュートを積極的に放ったのは誰だったのか。それはコンディションのせいなのか、戦術のせいなのか、組織のせいなのか。ましてや「中田英寿のスタンドプレー」なのか。考えてみる価値は十分にあると思う。