トリセツを熟読せよ


 まず、過日に行った「■[鬼武チェアマンの“プロ意識”を問う」というエントリーを取り下げることについて連絡します。詳しい経緯は「サッカー蟻地獄」の隊長とのやり取りを参照して頂ければ良いと思いますが、ともあれ「KINDはチェアマン発言に根拠がないことを立証できていない」ことが最大の理由です。鬼武チェアマンには、エントリーを取り消し、無礼な発言をしたことをここにお詫びします。申し訳ありませんでした。


 もっとも、これは「とりあえず取り下げる」に過ぎない。また、僕は隊長の「クラブに責任があるのは当然」という主張に納得したわけではない。その理由について、今から書かせて頂く。


●誰もトリセツを知らない


 実は、僕はこの件について何人かの業界人に連絡を取ってみた。その業種と人数についてはお答えできないが、誰一人として明確に「クラブの責任という根拠」を述べることはできなかったことを報告しておく。ということは、僕が「クラブの責任はどこにあるのか?」と問題提起したことには、少なからず意味があることだと思っている。


 ところで、徳大寺有恒という自動車ライターは、「トリセツ(取り扱い説明書)を熟読せよ」という言葉を使っている。車の性能を十分に引き出すためには、取り扱い説明書をよく読み、装備を使いこなせなければダメだ。


 この話も、「トリセツ」と同じではないだろうか。要は、選手が不祥事を起こした際の「トリセツ」を、多くの人が知らない。少なくともJリーグのHPには開示されていないか、分かりやすい位置に示されていない。だから皆、面倒がって「トリセツ」を読みにいこうとしない。僕もそうだった。ベットの件がなければ、鬼武チェアマンの発言がなければ、このトリセツを読むことはなかった。だから、探してみた。そして、どうやら発見した。


 ベットの件の「トリセツ」は、どうもこのあたりだったようだ。ただ、これはJリーグの規約でなく、JFAの規約である。

http://www.jfa.or.jp/jfa/code/2_kihon/12.pdf
第229条[違反行為]
 加盟団体または選手等が次の各号のいずれかに該当する行為を行った場合には、第197条[懲罰の種類]第1項各号((1)号及び(2)号を除く)および第2項各号の懲罰を科す。
(中略)
(5)刑罰法規に抵触する行為を行ったとき

 そして第197条には、「加盟団体」への罰則規定が定められている。仮に、クラブの責任があるのだとすれば、加盟団体であるクラブへ科す。これは、正しい。だが、規定にはもう一つある。

第201条[両罰規定]
加盟団体に所属する個人が違反行為を行った場合には、その個人に対して懲罰を科すほか、その個人が所属する加盟団体に対しても懲罰を科すことができる。ただし、その加盟団体に過失がなかった場合は、その限りではない。


 つまり、「クラブの過失」が立証されなければ、クラブへの懲罰を科すことはできないのだ。


 この件については、一旦は発言を取り下げる形にする。しかし、クラブ側へ懲罰が科されるのか否か、科された場合は何を根拠に科したのか。また、これら規則は「競技規則」であって、競技内でない今回の件には必ずしも該当しないかも知れない。


 いずれにせよ、鬼武チェアマンのコメントを待ちたいと思う。

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